観測に適した双眼鏡




                                        by Akira S.

 天体観測には、双眼鏡が手軽で結構楽しめるものです。ただ、観測対象によって適切な倍率口径(対物レンズ有効径)を選ばないと、かえって使いずらいものになってしまいます。その辺の話を少し、しておきましょう。  ここでは、星空散策に気軽に(つまり手持ちで)使える双眼鏡について考えてみることにします。さて、どんな双眼鏡が天体観測に適しているのでしょうか? 前側のレンズ(対物レンズ)は、当然のことながら、大きいに越したことはありませんが、大きさに比例して重さも増してきます。手持ちの限度は40〜50ミリといったところでしょう。 倍率はどうでしょうか? これは10倍以内にしておくのが賢明です。10倍を越えると手ブレの影響で像が落ち着かず、長い観測では疲れてし
まいます。もちろん三脚に固定して見るのでしたら問題ありませんが。
 もう一つ、双眼鏡を選ぶときのポイントがあります。それは「ひとみ径」の大きさです。人間のひとみの大きさは、周囲の明るさの変化に応じて変わり、明るい昼間では直径2ミリくらい、夜になると7ミリくらいになります。ひとみの径が大きくなれば暗いものまで見ることができます。双眼鏡のカタログ(下図参照)には、ひとみ径が記載されていますから、この径が大きいものを選んでください。7ミリくらいのものが、一番、光を有効に使えて明るくみえます。

性能表の「アイリリーフ」は、接眼レンズから離れてどのくらいの距離に眼を置けばよいかを示しています。これが大きいほど、見やすいのと、メガネをかけている人には有利になります。メガネをかけたまま双眼鏡を覗くとき、アイリリーフが短いと、視野の全体が見えないといった不都合が生じるからです。「実視界」も双眼鏡を選ぶ場合の重要なファクターになります。数字が大きいほど、広い範囲が見えるわけです。これらのいろいろなファクターを考慮して、目的に合った双眼鏡を選んで下さい。以上を総合して考えると、天体観測にお勧めできるのは、7倍50ミリの双眼鏡です。双眼鏡で天の川を見ているだけでも楽しくなってきます。肉眼では、ぼんやりとしか見えなかったものが、多くの星に分かれて見えてきます。ときには星雲や星団が飛び込んできたりして、宇宙の神秘に触れることもできるでしょう。

双眼鏡カタログの性能表の例