星空を守るために 美星町光害防止条例 |
岡山県美星町は、全国に先がけて、光の害によって星空が失われることへの危惧から、 「光害防止条例」を1989年11月22日に制定しました。 ここに掲載したものは、町が発行するパンフレットから、その一部を抜き出したものです。 いつでも綺麗な星空が見られるようにという願いをこめてここに掲載させてもらいました。 詳しくは下記の美星町のホームページをご覧ください。 |
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美しい星空を守る美星町光害防止条例(1989年11月22日制定) [前文] 美星町には、流れ星の伝説と、その名にふさわしい美しい星空がある 天球に は星座か雄大な象形文字を描き、その中を天の川が流れている。さらに、地平線 から天の川と競うように黄道光が伸び、頻繁に流れ星がみられる。また、夜空の 宝石ともいえる星雲や星団は、何千年、何万年以上もかかってその姿を地上に届 けている これら宇宙の神秘をかいま貝ることができる環境は、町民のみならず 全人類ことってかけがえのない財産となっている。 しかし、宇宙は今、光害によってさえぎられ、視界から遠ざかって行こうとし ている。人工光による光害の影響は、半径100km 以上にも及び、人々から星空の 美と神秘に触れる機会を奪うだけでなく、過剰な照明は資源エネルギーの浪費を 伴い、そのことが地球をとりま<環境こも影響を与えている。また、過剰な照明 により、夜の安全を守るという照明本来の目的に反するのみならず、動植物の生 態系にも悪影響を与えることも指摘されている。 近隣には主要な天文台が設置されているとおり、町の周辺は天体観測に最も適 した環境こあり、町はこれまで「星の郷づ<り」に取り組んできた。そして、今 後も多くの人々がそれぞれに感動をもって遙かなる星空に親しむよう宇宙探索の 機会と交流の場を提供することが町及ひ町民へ与えられた使命と考える。 このため、わか美星町民は、町の名に象徴される美しい星空を誇りとして、こ れを守る権利を有し、義務を負うことをここに宣言し、全国に先がけてこの条例 を制定する。 |
[条例のおもな内容] 目的 光菩の防止と適正な照明について、町、町民、事業者の責務を明らかにし、生活 に必要な照明を確保しながら、光害から美しい星空を守ることを目的とします。 それぞれの責務 町は、教育活動、広報活動を通じて光害についての知識の普及をはかるとともに 光害防止について技術指導、施設の整備などの援助をおこないます。町民及び事 業者は、光害の防止に努めるとともに、町が実施する光害の防止に協力してくだ さい。 光害防止モデル地区 町長は、天体観測施設を中心に、特に光害を防止する必要があると認める地域を 「光害防止モデル地区」として指定することができます。 夜空の明るさ 夜空の明るさは、自然の状態の1割をこえないよう国際天文学連合によって勧告 されています。美星町でも人工光による夜空の明るさの増加が、自然の状態の1 割をこえないことを自標にします。 この目標を達成するため、町は夜空の明るさを測定します。 必要最小限の光 屋外照明は必要最小限にして、適正な照明に心がけましょう。 保安灯など必要なもの以外は、夜10時以降は消灯するようにしましょう。 天体観測への協力 学術的に重要な天体観測が、町内や近隣の地域でおこなわれ、夜空明るさを制 限する必要があるときは、屋外照明の自粛などの協力をお願いします。 光害防止対策費用の補助 町は、光害防止のために有効な次のような新設、改造または取り替えに対して経 費の3分の2以内を補助します。 1.水平以上に光を漏らさない遮光具の設置、又は投光方向の変更 2.低圧ナトリウム灯などへの光源の変更 3.点灯時間を制御できる設備、又はモーションセンサーの設置 4.事業所等で、屋内照明の光を外へもらさない設備の設置 5.その他光害防止対策に効果があると認めた事業 |
屋外照明の光源について ★屋外照明には、天体観測に障害の少ない低圧ナトリウム灯を使うことを奨励します。 光源は大きく分けて輝線タイプと連続スペクトルタイプの2種類があります。 輝線とは、特定の波長(光)だけ発するもので、連続スペクトルとは、広い範囲の波長に わたって光が存在するものです。低圧ナトリウム灯は輝線タイプで、フィルターでその光を カットすることができますが、白熱灯や水銀灯などの連続スペクトルタイプの光源は光を 容易にカットすることができません。また低圧ナトリウム灯は、消費電力も少ないので、省 エネルギーにも適しています。 屋外での投光器の使用について ★屋外でサーチライト、スポットライト、レーザー等を継続的に使用する場合は、水平方向 に向けることを禁止します。 屋内照明の遮光について ★大量の光を使用する事業所は、カーテン、ブラインドなどで屋外に光をもらさないように してください。 |