文治の落語



最近出版された本(うなぎ書房)
国立演芸場へ桂文治門下の落語を聞きに行った。大正13年生まれの文治さんは、母と同い年の77歳。まだまだしゃべりがすばらしい。客席の反応を見ながら、まずは,話の取っ掛かりをつかむ。江戸しぐさ、江戸ことばを大事に守ってきた文治さんは、後継者にその芸を伝達しようとしている。小文治,平冶など話し上手な弟子を育て、はじめての女真打の右團冶などは早稲田の法学部出、彼女もまたなかなか味がある。
 それでも文治が出てくると一味も二味も違った雰囲気を作り出す。歌舞伎に学びながら、江戸しぐさを徹底的に勉強し今の芸を生み出している。父親が柳家蝠丸という落語家であったのも一役買っているには違いないが、結局は本人の才能である。
昔、「お笑いタッグマッチ」という今でいう「笑点」にあたる番組で、桂伸冶で出ていた時分を思い出す。
また、文治さんは小学校5年のときから南画を描いていて、その腕も一流というから驚きである。息子と二人で落語を聞き終わった後、なんかすっきりとした気分で帰宅の途についた。
2001/12/22