天空の放浪者「彗星」。毎年のように新しい彗星が発見され話題にのぼりますが
ヘール・ボップ彗星のような巨大彗星が現れると、もう感動の一語に尽きます。

 

 天空の放浪者「彗星」は、一度その壮大な尾を見ると、とりこになってしまいます。
百武彗星の長大で細長いものから、ヘール・ボップ彗星の明るくて魅惑的な尾まで
形はさまざまです。
ところが、尾を良く観察すると、大まかに3つに分けることができます。
」と呼ばれる彗星の本体。これは大きな氷のかたまりと考えればいいでしょう。
その成分を詳しくみると、80%が水、残りの20%が、二酸化炭素、一酸化炭素、そ
れに微量に炭素、酸素、窒素に水素が化合した物質、そして、砂粒状の塵(ダスト)
が含まれています。
 二つ目が核を取り囲む「コマ」。太陽熱で氷が溶かされてまわりに水蒸気状になっ
て広がったものです。そして、三つ目が太陽に近づいたときだけ見せる「」。
この3つが彗星の部分を構成しています。
彗星の尾

 「尾」を良く見ると、青白くまっすぐにのびた尾と、広がりをもった尾があるのに気づき
ます。前者を「イオンテイル」(プラズマの尾)、後者を「ダストテイル」と呼んでいます。
イオンテイルは、太陽風によってイオン化された分子が独特の青白い光を発している
もので、太陽とは反対方向に直線的に伸びています。
それに対して、ダストテイルは、核から放出されたダスト(塵)が、太陽の引力と、光圧
のバランスで幅を持った形になっています。ヘール・ボップ彗星では、これが見事に現
れていました。
 彗星の核の大きさは、ハレー彗星で15×7km、今回のヘール・ボップ彗星では異
常に大きくて約40kmと言われています。1km内外の小さなものが普通の大きさです。