世紀の大彗星





1965年の大彗星「池谷・関彗星」(-7等)に次ぐ明るさ(推測:−4.5等)になったマックノート彗星は、日本からはもう見えなくなってしまった。南半球ではまだ当分観測できてうらやましい限り。池谷・関彗星は太陽に約0.008天文単位まで近づいたが、マックノート彗星は約0.17天文単位。この差が最大光度の差に大きく影響している。それでも太陽に一番近い惑星「水星」までが太陽から約0.38天文単位であるから、超接近したことに変わりはない。
 僕の観測は1月14日で終わってしまったが、天文仲間が13日に西伊豆の方に遠征して撮影した画像がすばらしいので、ここに掲載する許可をもらった。
 マックノート彗星を見ると、イオンの青い尾は見当たらず、ほとんどダストという感じで、ヘール・ボップ彗星からイオンの尾を取り除いた姿に似ている。


【撮影者のコメント】天気予報で晴間を予測して西伊豆へ。予定撮影ポイントに10Kmを残して17:10とタイムリミット目前。急遽、西が開けた場所を探し何とか撮影に成功。セッティングを含め7分程度で地平線下に消えて行きました。今回の機材選択のポイントは、夕陽で長時間露光ができない事、ステライメージでソフトビニング+コンポジットを前提に、野鳥撮影に使っているデジスコーピング機材の方が焦点距離が1000mm程度〜3000mm程度と自在で、尚且つ下手なD-SLR+直焦で写すよりも実効F値が小さいので速写性に優れているのが主な理由です。

明るい彗星のリスト(1935年以降)
最大光度 彗星
(-7) 池谷・関彗星(C/1965 S1)
(-4.5) マックノート彗星(C/2006 P1)
(-4) 南天の大彗星(C/1947 X1)
-3.0 ウェスト彗星(C/1975 V1)
-0.8 ヘール・ボップ彗星(C/1995 O1)
(-0.5) アラン・ローラン彗星(C/1956 R1)
(-0.5) ニート彗星(C/2002 V1)
0.0 百武彗星(C/1996 B2)
0.0 ベネット彗星(C/1969 Y1)
0.5 ソーホー彗星(C/1998 J1)
1.0 日食彗星(C/1948 V1)
1.0 ムルコス彗星(C/1957 P1)
1.0 関・ラインズ彗星(C/1962 C1)
(1) ホワイト・オルティス・ボレリ彗星(C/1970 K1)
1.7 アイラス・荒貴・オルコック(C/1983 H1)
(2) デコック・パラスケフォポロス彗星(C/1941 B2)
(2.2) リニア彗星(C/2002 T7)
2.4 ハレー彗星(1P/1982 U1)
2.5 コホウテク彗星(C/1973 E1)
2.5 リニア彗星(C/2000 WM1
International Comet Quarterly (ICQ)より

大きい画像(960×1280pix) 大きい画像(960×1280pix)

C/2006 P1 (McNaught)
撮影者: 島田 敏弘
撮影日時:2007年1月13日 17時12分〜17分
撮影地:静岡県賀茂郡西伊豆町
撮影機材等:Leica Apo Televid 77s + 32xww、キヤノン PowerShot S80
ステライメージ Ver.5にてソフトビニング及び、5枚コンポジット、トーンカーブ調整他
(1枚目)合成fl=約1000mm
(2枚目)合成fl=約3000mm


------------------------------------------------------------------------------------
南の地域では下の写真のように見えているようですよ! すごくて溜息が出ますね。

2007/1/10 Photo by Michael Jager 2007/1/18
Photo: E. Jehin (ESO) Paranal, Chile
2007/1/19 10:28 UT.
Photo: R. H. McNaught, Siding Spring Observatory.
Canon 5D, 50mm, f/2.0, 30 sec exp., ISO 200

彗星を発見したマックノートさん
2007/1/20 10:38 UT.
Photo: R. H. McNaught, Siding Spring Observatory.
Canon 5D, 135mm, f/2.0, 120 sec exp., ISO 200

マックノート(Rob McNaught)さんは1956年スコットランド生まれの天文学者で、現在はオーストラリア国立大学のサイディング・スプリング天文台で太陽系小天体の捜索などに携わっている。これまでに発見した小惑星は300個以上、彗星は30個以上にものぼる。また、2001年のしし座流星群大出現をアッシャー氏(David J. Asher)とともに予測したことでも知られている。