シュワスマン・ワハマン第3周期彗星



彗星が太陽に近づくにつれて核分裂が相次いでいるようだ。この彗星もこれを繰り返すと消滅してしまうことになる。SW-3も今回の回帰が最後かもしれない。
73P/ Schwassmann-Wachmann3(C)
【 C核 】
2006/4/28 22:55〜22:59(JST)ダーク補正後、2枚合成
Vixen R200SS直焦、コマコレクター
EOS20Da、LPS-P2Filter、ISO1600
自宅にて
核の分裂に関する国立天文台の情報を掲載しておこう

    
        国立天文台 アストロ・トピックス (208)

    シュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星、分裂核がさらに分裂

 地球に接近しつつあるシュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星(73P/Schwassmann-
Wachmann)の分裂核が、さらに分裂を繰り返している様子が各地で観測されて
います。

 前回のアストロ・トピックスでもご紹介したように、シュヴァスマン・ヴァ
ハマン第3彗星は太陽に近づくたびに、これまでも何度か分裂を経験してきた
彗星です。今回も、以前に分裂した核がそのまま帰ってきただけでなく、今年
3月には新たに4つの核が発見され、さらに4月に入ってから、小さな核が発見
されていき、その数は30個を超えています。

 最も明るい核であるC核は、いまのところ変化はありませんが、次に明るい
B核、その次に明るいG核のふたつが、4月のはじめに急激に増光しました。と
りわけB核は、一時はC核と同じような明るさとなったほどです。その後、二つ
の核とも明るさは平常に戻っていきましたが、どちらも分裂に伴う増光であっ
たことがわかってきました。B核では、比較的大きめの破片が離れていく様子
が、日本各地のアマチュアや公開天文台で撮影されつつあります。とりわけヨ
ーロッパ南天天文台の口径8メートル VLT(Very Large Telescope)望遠鏡
では、B核から離れていく7つの破片が捉えられています。
 一方、G核の場合、もともとの核が暗いこともあって、明らかな分裂破片は
地上観測では捉えられていませんでした。解像度の高いハッブル宇宙望遠鏡で
4月18日に撮影された画像では、B核と同様に数多くの小さな破片が”ミニ彗星”
となっている様子がわかります。

 これら小さな破片は、かなり短い期間で蒸発し尽くしてしまうのではないか、
と考えられていますが、それらがどの程度の寿命となるか、また今後もさらに
分裂が続いていくのか、大変興味深いところです。また、このような興味深い
現象が、地球に近づく状況で起こっていることも、世界中の研究者が注目する
理由となっています。この彗星の地球への接近距離は約1200万キロメートルで、
これまで軌道がわかっている彗星の中での地球への接近距離としては歴代21位
となります。

 国立天文台でも、この彗星については重点的な観測が今後予定されており、
新しくできた石垣島天文台1メートル望遠鏡、50センチメートル社会教育用公開
望遠鏡、すばる望遠鏡等による観測が予定されています。

参照:参照:ヨーロッパ南天天文台ニュース ESO-15/06 (25 April 2006)
       http://www.eso.org/outreach/press-rel/pr-2006/pr-15-06.html

   ハッブル宇宙望遠鏡ニュース STScI-PRC06-18 (27 Apr. 2006)
     http://hubblesite.org/newscenter/newsdesk/archive/releases/2006/18/

      国立天文台「謎の彗星見えるかな」キャンペーンページ
    パソコン用 http://www.nao.ac.jp/phenomena/20060502/index.html
    携帯電話用 http://www.nao.ac.jp/i/phenomena/20060502/index.html

       2006年4月28日            国立天文台・広報室






73P/ Schwassmann-Wachmann3(B)
【 B核 】
2006/4/28 22:33〜22:37(JST)ダーク補正後、2枚合成
Vixen R200SS直焦、コマコレクター
EOS20Da、LPS-P2Filter、ISO1600
自宅にて