彗星を探すコツ 

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             【ヘール・ボップ彗星

 彗星を見るためには、まず位置が分からなくてはなりません。それと、明るさの情報が必要です。
自分の望遠鏡で果たして見えるのか見えないのかの判断は、この明るさによって決まります。
彗星を見つける一つのコツを書いておきますので、参考にしてください。
 新彗星が発見されたとき、あるいは周期彗星が回帰してくるときは、その位置予報がパソコン通
信のブレティンボード、レター形式の天文電報、天文雑誌、新聞などに発表されます。それらの位
置予報データには、彗星の位置(赤経、赤緯)、明るさなどが掲載されています。

1情報を入手したら、まず星図のコピーをとってそこに予報位置を記入していきます。予報は2日
おきとか4日おきとか、彗星の動きによって決まっていません。見たい日付の予報が出ていない場
合は書き込んだ前後の位置から推算して決めてやります。

2明るい彗星の場合は肉眼でも十分に確認できるものがありますが、ほとんどは双眼鏡か望遠鏡
が必要です。双眼鏡で、予報されているあたりをまず眺めてみてください。明るく(4等星くらい)コマ
がある程度大きな彗星では恒星と違って星雲状に見えます。位置の目安を付けておけば望遠鏡で
導入するのも楽になります。

3暗い彗星(10等星より暗い)では、望遠鏡で探す必要があります。探し方は望遠鏡を載せている
架台の種類によって、違ってきます。経緯台の場合は(この方法は赤道儀でも使えます)、予報位
置の明るい恒星から星図を見ながら一つずつ星をたどっていって目的の彗星を探します。
おおざっぱにやるときは、星図上で彗星を挟むような二つの星を探して、その星の間を捜索します。
あるいは二つの星と彗星が三角形を作るようなとき、その形から位置を推測して望遠鏡を向けてや
ります。要は自分が導入しやすい方法を自分なりに工夫していくことが大切です。

 (注)望遠鏡で見る場合、どういう見方をしているかが重要です。
    直視で見えている像は上下左右が逆さまですが、天頂プ
    リズムを付けていると、上からのぞき込むような格好では
    上下は正常ですが左右は逆さまになります。
    星図と見比べて星を探す場合、常にこのことを意識してお
    いてください。


4赤道儀の場合には強い味方があります。それは目盛環です。赤経、赤緯目盛がついていれば、
予報値の赤経赤緯値に合わせてやればいいわけです。このときはもちろん赤道儀の極軸が合って
いなければなりませんが……。
 実際に目盛環を使う場合、赤緯は望遠鏡を動かしてその値に合わせれば良いわけですが、赤経
はたいていのアマチュア用の望遠鏡では自由に回せるようになっているため、位置の分かっている
恒星を望遠鏡に導入した後、まずその星の赤経に合わせ直してやる必要があります。その後、微
動ハンドルやモーターの増・減速ボタンを押して目的の赤経になるまで望遠鏡を動かしてやります。

5望遠鏡には、できるだけ低倍率の接眼レンズを付けておきます。おそらく視野のなかか非常に
近いところに彗星が見えているはずです。恒星と違った星雲状のものを探してください。彗星の広
がりは彗星によってさまざさまですが、よく予報にコマの広がりが何分というように書かれています
から、これを参考に大きさを想像しておきます。想像するためには、見慣れた天体(球状星団や惑
星など)の視直径をある程度、頭に入れておくと役に立ちます。
彗星の核などを詳しく見るときには、倍率を少し上げてください。