コリオリの力?



台風の進路台風が北上して日本付近に近づくに従って右に逸れていく現象はご存知だと思う。これは、コリオリの力で説明されるのであるが、これが解かり難い。試しにネット上の百科辞典であるウィキペディアで調べてみると

コリオリの力は、回転座標系上で移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度に比例した大きさで受ける慣性力の一種。コリオリ力、転向力(てんこうりょく)ともいう。1835年にフランスの科学者ガスパール=ギュスターヴ・コリオリが導いた。回転座標系における慣性力には、他に、回転の中心から外に向かって働く遠心力がある」

と書かれている。その後、計算式が出ていて説明されているが理解できるであろうか。定量的にではなくて定性的に簡単に理解できないものかどうか考えてみた。ここで使う法則は慣性の法則である。「力が加わらない限り止まっているものは止まり続け、動いているものはそのまま同じ方向に動き続ける」という力学の基本法則である。

 さて、地球を考えてみることにする。地球は一日一回自転することは解かっている。地球上にいる人を地球の外から眺めると、どういう風に見えるだろうか。赤道上の人は、外周約40000キロを一日かかって一周する。北極にいる人は0キロを一日かけて一周する。速度で表せば赤道上の人は時速(40000/24)キロで動いていることになる。北極の人は(0/24)=時速0キロで、すなわち動いていない。われわれのように中緯度の人はその中間の速度を持っていると考えることができるだろう。ここまでは問題ないだろう。
次に、赤道上から真北に向かって速度Vで大砲を撃ったと仮定してみよう。これを地球の外から眺めると弾の速度は実はVではない。地球の自転速度が弾と直角方向にプラスされている。そのため合成速度は下図で言えば青色の矢印の速度である。このままの速度で弾が北に進んでいくとどうなるだろう。空気の抵抗など余分なものはないとしてみる。慣性の法則に従えば今の速度を維持してまっすぐに進むことになる。ただここで、地球という立体で考えると解かりにくいので地球を平面として考えることにする。弾が中緯度にくるとその場所の自転速度は遅くなるから、外から眺めていると弾は赤道方向への自転速度が維持されているので、その地点の自転速度を超えることになる。地球の自転は北極から見ると反時計回りである。そのため、地球上にいる人から弾を見ると進行方向が右に逸れていくことになる。慣性だけを使って何とか定性的に説明できたと思うが如何だろうか?
記:2006/7/18