オーストラリアの星々




8月27日に火星は地球にいちばん近づく。約6万年に一度の大接近として、騒がれている。2年前の接近と比べると、確かに模様の見えもいい。特に南極冠が明るくてまぶしさを感じるくらいだ。薄いドライアイスが覆っているというだけなのに、すごい反射だ。火星を観測するには見える高度が高いほど、大気のゆらぎの影響を受けにくい。それを考えると、南半球の方が有利と言える。息子が今、オーストラリア北端のダーウィンに動物の調査に行っている。今は乾季なので、空気も澄んでいて星の見えもいいらしい。うらやましいかぎりだ。ハレー彗星のときに、西のパースへ行ったことがあるが、さすがに星々の輝きが違うのに感動したのを覚えている。
ダーウィンの21時頃、東の空には火星が煌々と輝いている。南中するときは、ほとんど真上を通過する。
 北の方に眼を向けていくと、白鳥座がくちばしを上に向け羽を大きく広げて昇ってきている。
南西の空には、天の川が真っ直ぐと立っていて、地平線近くには、南十字座が見えている。
 この星座の左上あたりは星がなく、まるで天の川にポッカリと穴が空いたようだ。
 コールサック(石炭袋)と呼ばれている場所だ。そこから西に眼をやると、丸い雲のようなものが
 見える。球状星団のひとつであるω星団。肉眼で大きさが確認できる唯一のものだ。
 かなり真上にさそり座が横たわり、赤い目玉のアンタレスもはっきりと見える。
 ケンタウルス座α星(アルファケンタウリ)は、太陽の次に近い恒星。4.3光年の距離にある。
明け方になると、南の空に大マゼラン雲、小マゼラン雲が浮かんでいるのが見えることだろう。
 お隣の銀河系である。向こうでも、きっと地球の方に眼を向けている宇宙人がいるだろう。
 この星を見ると寿命が延びると言われているカノープス(南極老人星)も見えている。
 オーストラリアに行ったつもりで、南の星々を楽しんでいただけただろうか。