重星を見る 

 望遠鏡で見ても、恒星は大きくなってくれません。それでは重星を見る楽しさは何でしょうか?
一番の楽しさは、色の対比にあります。はくちょう座のくちばしに輝くアルビレオの青宝玉(サファイヤ)
と黄玉(トパーズ)のような色合いの対比は、一度見たら忘れることができない美しさです。女性ならず
とも、きっと感嘆の声を発すること請け合いです。

 色の対比の他に、明るさの対比も見る楽しさの一つでしょう。主星に比べて伴星が極端に暗い場合、
良く観察しないと分離できないものも多くあります。明るすぎる主星を視野から外してやっと見えるもの
もあります。
また、角距離が小さい重星では、望遠鏡の性能の一つである分解能の検査用に利用することもできま
す。
重星は、2つの星とは限りません。3つや4つの星が、集まって見えるオリオン座のトラペジウムや、こと
座のε星
などは、こういう魅力がある星です。
こと座ε星は、2つの星が3.5分角離れた肉眼的二重星ですが、望遠鏡ではそれぞれが、さらに二重星
というダブル・ダブルスターとして見えます。
星図やその他の参考書で探すと、おもしろい対象がたくさん見つかります。一つずつ実際に確かめてい
くのも楽しいのではないでしょうか?