エルニーニョ 」についてのメモ


世界的な異常気象、干ばつ、大洪水、大雪、暴風雨などの原因のひとつとして今注目されているのが、エルニーニョです。どうしてペル−沖の海水の温度が数度上がっただけで、遠く離れた世界の地域で異常現象を伴うのか(テレコネクション)については、まだまだ良く解っていないようです。世間では異常気象であれば、エルニ−ニョのせいにしているようですが、エルニ−ニョについては、最近になってやっと科学研究が始まったばかりなのです。
ある程度の予測はつくものの、まだまだ良く解らないことが多いようです。エルニ−ニョ(温暖化)とラニーニャ(冷涼化)という両極端の間を地球環境は繰り返しているようです。ここでは、エルニーニョの概観だけをメモ形式でピックアップしてみました。
  
          【 エルニーニョの定義 】

            スペイン語で、El Nino


(1)幼子のキリスト
(2)ペルー沿岸に季節的に発生する南向きの暖かい海流に対してペルーの船乗りがつけた名前
(3)ペルー沿岸に通常みられる冷水(湧昇)域に、たまに暖水が、  戻ってくる現象につけられた名前で、この現象がおこると、海岸地方の魚(カタクチイワシ)と鳥(グアノ鳥)の個体群が消滅する
(4)太平洋赤道域の中部、東部、あるいはその両方における海面水温と、西太平洋の海面大気圧の上昇に対して与えられた名称
(5)ENSO(エルニーニョ・南方振動)をさす言葉で、太平洋赤道域の大気と海水の相互作用の変化のこと。 

太平洋で1982年12月〜1983年2月に観測された海面水温の変異図(NOAA/OGP 1992より)
★★★ エルニーニョの代表的な温度変化図。ペルー沖に通常年より4度以上の高温領域が出現している。



南方振動
タヒチとダーウィンは南方振動のシーソーの両極端に位置している。南方振動を測定するために、両地点間の気圧差が用いられる。数値は相関係数とよばれる統計学的尺度を意味する。
タヒチの気圧偏差はダーウィンの気圧偏差と強い負の関係を示している。たとえば、ダーウィンで気圧が高いとタヒチで低く、ダーウィンで低いとタヒチで高い。(After Rasmusson 1984より)

この南方振動と呼ばれる気圧変化が、海水の温度変化に伴って現れる。気圧変動があると、風向きが変化し、寒暖の海水の移動を伴うようになる。

★★★ 数学者のギルバート・ウォ−カーは、統計的手法を使って、今世紀はじめに上図のようなテレコネクションの関係を導き出した。エルニーニョの地球的な関係を明らかにした功績は大きい。

★下記の本が「エルニ−ニョ」を理解するのに役に立ちます。

Currents of change
"El Nino's impact on climate and society"
MICHAEL H. GLANTZ



マイケル・グランツ著 金子与止男 訳
「自然を読め! エルニ−ニョ」
より
(株式会社)ゼスト 発行