ファンタジーの世界
宇宙のイメージ(版画:加藤美紀生) |
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●ミヒャエル・エンデは、ドイツの児童文学者として知られている。「ネバーエンディングストーリー(はてしない物語)」は第1章を読み終えたとき、すでに本のとりこになっているのがわかる。もう本を手放せなくなるからだ。けっして子どもだけの物語ではない。大人が読んでも同じ感動が伝わってくる。 エンデは「モモ」、「ジムボタンシリーズ」などの名作を生んだ。エンデと似て好きな作家はラルフ・イーザウ。彼のネシャン・サーガはおもしろい。最近ではJ・K・ローリングの「ハリー・ポッター」が世界中で人気を呼んでいるが、読んだ後ずーっと心に残っているかというと、その時に本は終わってしまっている。話の展開は面白いのだが心のどこかに残るものがない。その点、エンデやラルフ・イーザウやトールキンには及ばない。人間の深いところをどのくらい読み取っているかがこの両者の分かれ目だと思う。モモの世界はいつまでも心のなかに生き続けている。ファンタジーというものは、単にメルヘンチックなものとも違う。心の琴線にふれて、何かを心に訴えかけ考えさせるものがファンタジーだと思う。大人になってもそれが血となり肉となるものがファンタジーには要求されているのだと思う。
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