縦にも横にもなる風景





こんな風景に出会ったことはことはないだろうか?この範囲をみている限りは、不自然ではない。枯れ木に蔦がからまり林の一風景になっていると思う。何となくこころが落ち着くと同時に、自然のもつ不思議さを感じてくるのだ。自分の命を他の生き物のために与えているという。
さてそれでは、絵を90度回転してみると
ごくありふれた風景。立木に蔦がからまっている姿だ。こういう姿を見たときと、上の風景を見たときでは、違う感情をいだくような気がするが、如何だろうか?一方はすでに命を落としている、そしてもう一方は生きているという。
茨木のり子さんの詩に「生きているもの、死んでいるもの」というのがあるが、ふとこの詩を思い出した。


もうひとつ、この風景で感じることは、紅葉の不思議である。綺麗に色づいて葉っぱを落としていくという普通の感情とは別に、何で捨てるときに一番華やかな色に変身するかである。これはあくまでも紅葉のしくみについて言っているのではない。植物が持つ不思議な因縁というか、生き様の話しだ。人間でも最後の花道を飾るという所業があるが、これと似ているとも言えるのではないか。寒い冬に向かって暖かい色の化粧をして冬の厳しさを和らげようとする意志みたいなものを感じるのだ。
2002/10/12