ある数値、そして癒し
●もうすぐ、一年になろうとしている。大腸ガンを患って手術したときから。順調に回復していたのは確かだ。今年の8月の定期的な検診の折、血液検査をした。その結果、腫瘍マーカーのひとつであるCEAが上昇しているのが分かった。そして再び大学病院での諸検査が始まったのでした。大腸の内視鏡検査、胃カメラ、CT、種々の血液検査などなど毎週のように仕事の合間を見て通ったのでした。しかし今のところ原因はつかめていない。自覚症状的には、尿の出が少し悪くなっていること、便秘気味なこと、臀部や腰の痛みがあるなどの事を考えると前立腺があやしいと個人的には考えている。ネットでこれらの症状に合う病気を調べた結果ではあるが、それやこれやで今度は、この辺の検査が始まろうとしている。ひとつの数値が生活スタイルまで変えてしまう怖さが今の世の中にはある。確かに、それだけ病気の発見率が高くなるということでもあるのだが。それと数値はある程度の確率を表しているとも言える。腫瘍マーカーが増えたからといって腫瘍があるとは限らない。マーカーは血液中に放出されたある生成物の量を測定しているに過ぎない。他の要因でその量が増えることもあるからだ。 検査というものは、決して気分のいいものではない。精神的に参らないように自分なりに工夫するより仕方がない。精神的に負けたら病気になるというのがぼくの心情だ。病気なら病気でもいい、うまく付き合っていく方法を考え、自分の内部の免疫システムを高めていくしかないように思えるのだ。星空をのんびりと眺めること、温泉に浸かって体をほぐすこと、そして音楽を聴くこともそのひとつの療法になる。今、前の入院の時に力づけられたGWANさんのCDを聴いている。確かに気分が落ち着いてきて元気が出てくる。再びGWANさんに癒されている自分を発見するのでした。ガンにはGWANさんが特効薬なのかな(笑)。 |
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2005/9/28 記 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●その後のこと 直腸から取り出した組織にガン細胞が見つかった。これは直腸の壁面が赤くなっているところがあったため念のために生検にかけられたものだった。医師もまさかと驚いていた。これがCEAを上昇させていたようだ。そのためこれから治療が開始されることになる。切除か放射線治療か化学療法なのかはこれからの詳しい検査で決めるという。再びガンとの戦いかと少し疲労を覚えているが、考えようによっては病巣がわかって治療の目処が立ってきたということにもなる。いい方向に考えたいと思う。最近の臀部あたりの痛みを早く取り除いてほしい気持ちの方が強い。通院になるのか、入院になるのかはこれからの判断にゆだねるしかない。前立腺の方は腫瘍マーカーのひとつであるPSAの判定では白と出たのでこちらは一安心している・・・。 気持ちを楽しい方に持っていくために、いろいろ工夫する。本もそのひとつ。皆さんもご存知だと思うけど、「星の王子様」の新訳が矢継ぎ早に出版されている。以前の内藤さんの訳には分からないところもあってなんかしっくりこなかった。そこで池澤夏樹さんの本を読んでみた。これはいい。訳がやさしくわかりやすい。今まで納得できなかったところもすんなりと理解できた。 |
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2005/10/4 記 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●さらに、その後のこと 前立腺の方は白だったので、こちらは安心。そして治療は抗がん剤の48時間連続点滴治療ということに決まった。5FU/アイソボリン+イリノテカン(or オキサリプラチン)。胸のところに点滴をするための器具(ポート)を埋め込むための簡単な手術をするという。入院は10月20日から一週間ということだ。その後は経過をみながら通院治療ということになる。ガンとは長い付き合いになりそうだ。 |
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2005/10/19 記 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●腫瘍マーカー正常値一覧 現在知られている腫瘍マーカーを上げれば次の通り。どういう生成物を観察するかによって種々のマーカーが考えられている。正常値はあくまでも平均的な値で、個々人によって正常値には差があることになる。そのため、腫瘍マーカーはひとつの可能性を表しているに過ぎない。また正常な人でも数値が0と言うわけではなくて、ある値を持っている。ということは人の体の中にはガン細胞を抱えているということだ。それがある瞬間に上昇するのは体の弱い部分が狙われるからだという。
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