ゲーテとニュートン


ゲーテ(1749-1832)

 ドイツの文豪と言われたゲーテ。彼は18世紀から19世紀に活躍した 詩人であり作家であった。そのゲーテが一方では自然科学の分野にメスを入れた形で登場してくる。「色彩論」がその一つである。
  ニュートンが、100年前に示したプリズムの実験から得られた色彩論に反論を加え、新たな理論を打ち立てるためであった。
        ニュートンニュートン(1642-1727

  ゲーテは「色彩論」の中で、特に色彩の持つ生理的、感覚的、精神的な作用について述べている。ニュートンが完全に物理的色彩論であったのに対して、ゲーテは人間にとっての色彩の見え方について述べているのが違っている。
 ゲーテの考えの根底には、ギリシャ以来の「光と闇から色彩が生まれる」という色彩感がある。同時代にはニュートンの流れをくむイギリスのヤングによる「色覚三原色説」が出されている。「目が色彩を捉えるのは目の中に赤、緑、青紫の3つの色に感じる視細胞があるためである」というもので、今のカラーテレビのRGB画像の原点である。
 当時、ニュートンの色彩論は世間を風靡していた時代であったから、ゲーテの色彩論は受け入れられなかった。
  ゲーテが言いたかったのは、むしろ「人間が色によって感じ、それによってどんな精神的作用を受けるか?」といったことであろう。
  最近になって、ゲーテの考えは「知覚心理学」や「色彩心理学」の分野で脚光を浴びている。
ゲーテの文学作品
1774年 「若きヴェルテルの悩み」
1778年 「エグモント」(戯曲)
1808年 「親和力」
1823年 「マリンエバートの哀歌」
1825年 「ファウスト」
1825〜1831年 「わが生涯より、詩と真実」(自伝)