薄暮効果



双眼鏡は使う目的によって考えなければならない性能があります。手持ちで観察するときには倍率がせいぜい10倍くらいまでが適当です。というのも倍率が高すぎると手のゆれが倍率分だけ大きく拡大されて一種の船酔い現象を起こしてしまいます。

 ここで考えたいことは薄暗いところでよく見える双眼鏡はどういうものがいいのかということです。
対物レンズ径(口径)が大きいほどより多くの光を集めるためにレンズ径が大きいほどいいのは頷けると思います。もうひとつは倍率です。倍率が高いほど近い距離に見えるためにこれも効果がありそうです。そこで考えられたのが薄暮効果(係数)と呼ばれているものです。最近の双眼鏡のカタログを見るとこれを表示しているものが多くなってきました。
 今までは(口径÷倍率)の二乗で表される明るさという数字がよく使われてきました。これは射出瞳径(=口径÷倍率)が人間のひとみと同等であれば一番効率よく光を使うことができることに関係しています。人間の瞳が暗い場所ほど大きく開くのと同時に、双眼鏡のひとみ直径(射出瞳径)も大きいほど明るい視野が得られ、日中で2〜3mm程度、天体観測には5〜7mm程度の大きさが必要とされます。そこで天体観測ではひとみ径が7mm程度の双眼鏡が選ばれてきました。

 真っ暗ではなくいくらか薄暗い夕方とか明け方には景色がおぼろげながら見えています。こういう状況下では対物レンズ径(口径)の他にもうひとつ見え方に影響するものがあります。それが倍率です。倍率を適当に上げるとよく見えるということが経験的に分かっています。もちろん、これは真昼間では通用しません。倍率が逆に悪影響を与えてしまいます。倍率を上げるほど暗くなってしまうためです。ですから使う目的によって機種を選ぶことが重要です。

薄暮係数は次の式で計算できます。この数字が大きいほど、薄暮時の効果が大きいといえます。

例えば8.5×42の薄暮係数は19で、8×32では16になり、薄暗い状況下では8.5×42がより高い視認性が得られる事が判ります。薄暮係数が大きく、かつ射出瞳径も大きい双眼鏡ほど、夜明けや薄暮時、また暗い森の中における性能が高いと言えます。
双眼鏡のカタログを見るときには、ひとみ径(射出瞳径)の数値とこの薄暮効果(係数)に注意するといいと思います。カタログに数値が載っていない時には上の公式で計算してみてください。
記:2007/3/25