「環境ホルモン」についてのメモ
最近、「環境ホルモン」ということばをよく耳にする。ポリカーボネ−トなどに含まれるスフェノールA(BPA)、PCB、 、ダイオキシン、DESなど化学の世界と縁のなかった私も気になってしかたがない。オスのメス化、精子の減少、 精巣がんの増加など毎日のようにマスコミに取りざたされている。しかし、騒がれている事柄はその一部に過ぎないようだ。 たまたま、泉 邦彦氏の講演会を聞く機会に恵まれたので、そのときのメモを列記することにしました。 |
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● 「環境ホルモン」の語源 このことばは、どうもNHKの番組から広まったものらしく、環境に見られるホルモン様物質という意味で用いられている。 (ホルモンのようにふるまうことによってホルモンの作用を阻害する化学物質) ★正常ホルモンのレセプターに結合して正常ホルモンの結合を妨害する。 ★単なるブロッカーとして、または作用も模倣するmimic(物まね師)として働く。 PHP「環境ホルモンの恐怖」より しかし、実際には内分泌障害(かく乱)物質の意味で用いられている。
これからすると、ホルモンのようにふるまうものは内分泌かく乱物質の一部であるため環境ホルモンという ことばは将来的には誤解を招く危険性がある。 |
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●毒性概念として認識された内分泌障害(かく乱) ★1991年の21人の科学者によるウィングスプレッド宣言 ★1996年、コルボーンによる「奪われし未来」(Our Stolen Future)の出版(邦訳は1997年)
★内分泌かく乱物質によってこれらの機能に障害が出る。 | |
●農薬汚染による人の行動毒性の現れの例 メキシコの農薬汚染地帯と非汚染地帯の子供が描いた「人」の絵には、明らかな差異が認められる。 Environ Health Perspect., 106, 347-353(1998)より
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