宇宙の方程式




物理をやっていると基本方程式というものが出てくる。それを基にして自然現象を説明できる。方程式と聞いただけで引いてしまう方も多いと思うが、ここで紹介する本は、それをいくらか和らげている。まず各章で方程式が提示され、その意味が述べられる。そしてその歴史背景やエピソードが語られる。一見何だか分からない式も読んでいるうちにその美しさに感動する。たった数行の方程式に秘められた内容はとてつもなくでかい。
訳者も言っているように絵画を美術館で鑑賞するような、そんな趣を持っている本と言える。内容は物理学の最新理論まで網羅している。ニュートンの運動方程式から電磁気力、相対論、弦理論まで含んでいる。物理学者の考え方の変遷を辿ることができる本である。大学時代学んだ物理の世界をあらためて感動して眺めることができた。

【目次】
多用される数学的道具
興亡の方程式―ロジスティック方程式
力学と重力―ニュートンの運動方程式と万有引力の法則
電磁気力―ローレンツ力の法則
局所的保存則―連続の方程式
電気力学―マクスウェル方程式
電磁波―波動方程式
孤立波―コルトベーク‐ド・フリース方程式
熱力学―熱力学の三法則
気体分子運動論―ボルツマン方程式
流体力学―ナヴィエ-ストーク方程式
特殊相対性理論―相対論的運動学
一般相対性理論―アインシュタイン方程式
量子力学―シュレーディンガー方程式
相対論的電子―ディラック方程式
強い力―量子色力学
電弱相互作用―グラショー-ワインバーグ-サラム・モデル
弦理論―超弦作用
バック・トゥ・ザ・フューチャー―最終的展望

記:2006/8/22