ハッブル



彼の名前はエドウィン・ハッブル(Edwin Hubble 1889年-1953年)。アメリカの天文学者。彼の名前は地上約600km上空の軌道上を周回するハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)でよく耳にすると思う。彼がハッブル望遠鏡を作ったわけではないが、彼の過去の研究成果を受け継ぐ望遠鏡ということで名前が付けられたのだ。
彼を有名にしたのは宇宙の膨張を示唆する有名な「速度ー距離関係式」である。遠い銀河ほど高速で遠ざかっているという観測事実だ。それまで、銀河というものは天の川銀河の中の天体の一種だと考えられていたが、銀河の距離を決定する方法(主にセファイド変光星を利用する方法)を見出して明るい銀河の距離を次々に決定していったのだ。それによって銀河が天の川銀河からはるかに離れた天体であることを発見した。そして銀河のスペクトル写真からそれらの銀河がわれわれから遠ざかっている事実を発見した(赤方偏移)。近くの銀河では近づく銀河もあるが、遠くの銀河については遠ざかっているものが圧倒的に多い。そして距離と速度をグラフにプロットしてみるとほとんどひとつの直線で近似できることがわかったのだ。これが有名な「速度ー距離関係式」だ。
 
 v=Hd (v=銀河の速度、d=銀河の距離、H=定数)

この関係式を導くまでの研究者としての細かな配慮、思考などについては「The Realm of the Nebulae」(「銀河の世界」:岩波文庫)を読んでみるといいだろう。
宇宙の膨張という概念の発端を作り出した功績とともに、銀河の型の系列を作ったことも、今もって評価されることだと思われる。楕円銀河、正常渦巻銀河、棒渦巻銀河を下図のように並べて分類した。この分類はちょうど音叉を横の寝かした形に似ている。銀河がどのようにできてその形をどのように変えていくかということが現在研究されているが、銀河の進化という観点からみると銀河系列図の右から左へ進化しているというのが体勢を占めている。

銀河の型の系列
【 速度ー距離関係 】              
黒丸と実線は個々の銀河の運動から求めたもの。白丸と点線は銀河をグループ分けして求めたもの              
記:206/5/14