倚りかからず(茨木のり子)
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茨木のり子さんの最新詩集が発売された(1999年10月)。朝日新聞の天声人語で紹介かれてから大きな反響を得た「倚りかからず」を含む15編の詩が収められている。 どの詩をとってもすばらしいが、「倚(よ)りかからず」が秀逸である。 1926年(昭和元年)生まれの茨木さんは山之口貘と似て、わが道を淡々と生きている。 「倚りかからず」には心の強い女性像と同時にやさしさもあふれ出ている。 他の詩集にも好きな詩がある。 ★ 「わたしが一番きれいだったとき」 ★ 「生きているもの・死んでいるもの」 ★ 「りゅうりぇんれんの物語」 ★ 「自分の感受性くらい」 など、心にひびく多くの詩を書いている。茨木さんは母の二つ下、母のイメージと重ね合わせて詩を読む。戦争が彼女たちを強くしたのかと、ふと考えてしまう。 ●最近、寄居で開かれたGWANさんのライブで、岡崎佳子さん(通称カコちゃん)が「生きているもの・死んでいるもの」を歌っているのを聞く機会があった。なかなか良く、印象に残っている。 |
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★二十歳のとき終戦を迎える。そんな茨木さんの唯一の楽しみが星をみることであったという。星座早見を片手に、星空を眺める茨木さんの姿が浮かんでくる。詩集未収録作品からひとつ紹介しよう。 夏の星に まばゆいばかり 豪華にばらまかれ ふるほどに 星々 あれは蠍座の赤く怒る首星アンタレス 永久にそれを追わねばならない射手座の弓 印度人という名の星はどれだろう 天の川を悠々と飛ぶ白鳥 しっぽにデネブを光らせて 頚の長い大きなスワンよ! アンドロメダはまだいましめを解かれぬままだし 冠座はかぶりてのないままに 誰かをじっと待っている 屑の星 粒の星 名のない星々 うつくしい者たちよ わたくしが地上の宝石を欲しがらないのは すでに あなた達を視てしまったからなのだ |
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1999/12/24 2002/6/15 追加 |