情熱とスピリチュアル



 滑川町の古民家ギャラリー”かぐや”で、楽しいイベントがあった。前座として新しく作った獅子頭の初披露も兼ねて獅子舞が執り行われた。この獅子を操っていたのは、かぐやの代表である井上夫妻の三女。これには来場者もびっくり、盛大な拍手が彼女に送られたのだった。長崎原爆被災者への一分間の黙祷をささげた後、フラメンコギター、ウードそれに、これらの楽器に合わせてのスピリチュアルダンスが始まる。ウードはアラブの楽器で、形は琵琶に似ていて味わいのある音色を出す。このイベントが行われた場所は古民家であり、冷房設備が無い。開演は15時という暑い盛りであったため、覚悟をして出かけたが、今日(8月9日)に限っていくらか涼しい日となった。
あたりからは蝉時雨が常に聞こえてくる。音楽が始まると、奏でる音楽に合わせたかのように、ひぐらしの物悲しい響き。この背景の音は一向に気にならない。むしろ気持ちよく心に響いてくる。雑音という概念をまったく捨て去ったコンサートであり、コンサートホールでは絶対に味わえない音のコラボを聴くことができた。

   【出演】
   フラメンコギター :日野道生
   ウード :常味裕司
   スピリチュアルダンス :板倉リサ

 かぐやは狭い会場ながら、80人もの人たちが遠くからこの催しを見にやってきた。一回公演の予定が、問い合わせが多くあったために急遽二回公演になった経緯がある。このような経緯を見ていて、ある映画をふと思い出した。ケビン・コスナー主演の「フィールド・オブ・ドリームス 」。ある日「それを作れば彼が来る」という声を聞いた農夫が、とうもろこし畑を潰して野球場を造り始める。突飛なシーンから物語が始まるが、野球場目指して長蛇の列をなしてやってくる車のラストシーン、これがなんとも感動的である。”かぐや”のうわさが人づてに広がり、今日に至った姿とダブってしまうのだ。

古民家ギャラリー”かぐや”
 
 記:2008/8/10