風の通り道
● 今朝は台風4号の影響で、朝から雨が激しく降っている。5月に台風が近くにやってくるということが過去にあったのだろうか。いつもの年だと発生した台風は中国大陸の方に行っていなかったか。夏の終わりから秋にかけて、やっと日本寄りのコースを通っていたはずだ。大気や海の温度変化が気象に大きな影響を及ぼしているのに違いない。 竹林の中を風が通り過ぎる時、葉や枝がお互いに擦れ合う音が聴こえる。そよ風のときの音は何とも気持ちがいいものだ。水のせせらぎや打ち寄せる波の音と共に自然の息吹を感じる一時である。 クリストファー遙盟、アメリカテキサス州出身の尺八奏者。彼は日本の尺八に魅せられ、1972年に来日し人間国宝の山口五郎氏に師事する。1982年に東京芸術大学大学院を修了し、1984年に山口氏から「遙盟」の号を授かる。それ以来尺八の演奏活動と共に尺八の講師としても活躍している。日本語はペラペラ。漢字も書ける。彼の演奏に接したのはもう10年以上前だったと思う。小さな演奏会場で、尺八の強弱のある音色が響く。 吐く息がそのまま感じられる楽器はそうは無い。横笛もその仲間には入るが、尺八ほどの力強さは無い。最近(2008年5月17日)、彼の演奏会が近くの古民家ギャラリー「かぐや」で行なわれた。ぼくは体調がいまいちだったので残念ながら聴きには行けなかったが、家族は尺八の音に酔いしれて帰ってきた。会場は古民家をギャラリーに改造した所で、背後には竹林を抱えている。長男の話だと、昼間のリハーサルの時には竹林の中で行なっていたという。竹から生まれた尺八で、その懐に抱かれて演奏する。これは演奏者にとっても最高の至福に違いない。 19時から始った演奏会では裏手の竹林から尺八の音が聴こえてきて、クリストファー遙盟さんが会場に登場する。クリストファー遙盟さんは自然との一体感を表現しようとしているように思う。長男が会場で買ってきたCDを聴きながら、その想いをあらたにした。「BreathPlay」(息遊)は、シアトル在住中国系アメリカ人作曲家バイロン・アウヨン(欧陽良仁)のコラボレーション作品で、尺八の音色に水の音,声、二胡、ピアノと様々な打楽器を加え,自然の息吹を感じさせる作品に仕上げている。CDのサインには、息子の名前をきちんと漢字で書いてあった。日本人よりも日本人的な知識と感性を持っている人だ。 |
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記:2008年5月20日 |