スティーブン・キング



映画「シャイニング」は怖い面のみを強調していた。本とは大分違う。「痩せゆく男」、「アトランティスのこころ」はそれなりの表現をしていただろうか。「ショーシャンクの空に」(原作「刑務所のリタ・ヘイワース」)や「スタンドバイミー」それに「グリーンマイル」は感動する映画だった。スティーブン・キングの作品は単なるホラー小説ではなくて、もっと奥深い追求をしている。シャイニングなども例外ではない。スティーブン・キングは人間の弱さ、純真さ、勇気、冒険、予言、ロマンス、寓話、風刺、未知への挑戦、宗教、ファンタジー、論理的思考など、いろいろな視点を駆使して人間をとらえようとしている作家である。
 最近、ひとつの長編を読んだ。「ザ・スタンド」は文庫で5冊もある大作である。1990年代の作品である。これぞ、スティーブン・キングのすべてを表しているのではないかと思えるほど感動する本である。マザー・アバゲイルと闇の男、多くの人間がこれに加わって味のある長大な物語を形成していく。人間味あふれる話もいろいろな場所で吐露され、あるときは人間の奥底に潜む悪魔的な怖さを体験しながら読み進めることになる。すべての人間に生きる意味があること、そしてスタンドすなわちそれぞれの人間が「拠って立つところ」を考えさせられる本である。
 
文庫本の「ザ・スタンド」
















スティーブン・キング
Stephen Edwin King, 1947年9月21日生まれ )  
              ・・・1974年、長編「キャリー」で作家デビュー

記:2007/5/9