空間感覚



西空に三日月が輝いているとき、太陽はどこにあるのか考えたことはあるだろうか。月より西寄りの地平線下にあることを思い浮かべると、なぜ月の西側だけが光っているかが納得できる。そう思い描くだけで、今、自分が地球上にいて月と太陽がこういう配置にあるとイメージを膨らますことができる。これが天体を観測するときの空間感覚と言える。もっと想像力をたくましくすると、「月から地球を見たらどう見えるのだろうか」。三日月の東側は太陽の光が来ない場所なので本来は真っ暗で見えないはずである。ところがうっすらとその姿を見ることができる。これはなぜかと考えたとき、月から見た地球が関係していることがうすうす分かってくる。地球から見た月が三日月のとき、月から見た地球は、月とは反対側が光っていることがわかる。ということは明るく輝く部分が広いのだ。さらに地球の方が月より直径で約4倍大きい。そんな地球が月面上に出ていたら、月が地球を照らすよりももっと明るいことが納得できる。三日月のほの暗く見える部分を地球照と呼んでいる。地球が月を照らしているのでこの名前がつけられている。こういう風に天体を見ながら想像力を働かせると、宇宙の奥深さを実体験できる。試してみてはいかがだろうか? 
三日月と地球照 
 
かぐやから写した満地球の姿ですが、、地上で三日月の頃は月面上では少し欠けた地球の姿が見えるはず。(C)JAXA
 
三日月の頃の太陽と月の位置関係 (by Stellanavigator8)