大シルチス付近


火星の名所のひとつである大シルチスは、火星の中でも最も目立つ模様だ。逆三角形をしたインドのような形をしている。シルチスの上のヘラス盆地は、他と比べてやや明るいのでシルチスを余計に目立たせている。シルチスという名はリビア地方にある大流砂地帯の名前で、イタリアの天文学者スキャパレリが命名した。火星の地名で地中海近辺の名前が多いのも彼が過ごした地域に基づいているからだ。ヘラスはギリシャの古名。キンメリア人は昔住んでいた種族の名。
火星面の暗い模様と地形とは必ずしも一致していない。一般に明るい所は、細かい砂で覆われていて、暗い模様のところは岩盤が露出しているところだと言われている。写真を撮りつづけていると、同じところでも模様が変化しているのに気づく。暗い模様が変化するのは、砂が移動して岩盤を覆ったりするからだ。左下の写真と右下のシミュレーション図を比較してもかなり違っているのが読み取れる。
Photo by Yasumi Kato  右図は「火星くるくる」(アストロアーツ提供のフリーソフト)で作成