火星画像の処理法


天体写真では、写したそのままの画像では本来持っている良さを引き出していないことが多い。そのためにパソコン上で画像処理を施して、画像が元々持っていた良さを最大限に引き出してやることになる。ここでは今接近中の火星を題材にその一部を披露することにしよう。こんなことがきっかけで星に興味を持っていただけたらうれしいかぎりだ。ここで用いたのはデジカメではなくて1万円程度で売っているパソコン用WEBカメラだ。WEBカメラを望遠鏡にとりつけるためには改造が必要だが、今回はそのことにはふれない。カメラの外観だけをお見せすることにする。
撮影機材
1.AVI画像の撮影
火星のAVI映像を撮影したものを用意する。この映像を見る限りは細かな模様ははっきりしていない(下の写真)。さらに30万画素のWEBカメラなので、ザラツキも激しい。こんな画像からはっきりとした模様が浮かび上がるのだろうか?
元のAVI 画像はこの程度だ
火星のAVIファイル(ファイルサイズ6M)
60秒間の火星の動画
火星のWMVファイル(ファイルサイズ2M)
18秒間の火星の動画

2.スタック処理
この画像を処理していくのに便利なのが、フリーソフト[Registax]だ。このソフトを使うと画面の中で動いている動画像を位置合わせしながら良像だけを重ね合わせてくれる(これをスタック処理という)。この例では480枚の像を重ね合わせた。重ね合わせることにより、像のザラツキが無くなっていることがわかるだろう。そして模様もうっすらと見え始めた。

  ↑Registax画面
スタック処理後の画像

3.WAVELET処理
重ね合わせた後、WAVELET処理を行う。これはひとつの画像を種々の周波数の画像の集まりと考えて周波数ごとの強調などができる。そうすることによって、埋もれていた画像を引き出すことができるのだ。
WAVELET処理後の画像
4.最終調整
最後は、色合い、明度、トーンカーブなどの細かな処理を別のソフトで行う。フォトショップ(アドビ)やステライメージ(アストロアーツ)などが有効なソフトだ。特にステライメージは天体写真専用に開発されたソフトで使い勝手がいい。最終的に仕上げたのが下の画像だ。
2005/8/27記