月面名所案内


月は、太古の昔から、満ち欠けを繰り返し、私達の眼を楽しませてくれました。望遠鏡で見るとさらに興味深い光景を眼にすることができます。まずは50倍くらいの低倍率。このくらいの倍率では、月全面を手に取るように見ることができます。さらに細部を見たいときは、倍率を100倍以上にして観察してみて下さい。月面には、大きく分けて黒っぽくて比較的なめらかに見える「海」と呼ばれる部分と、白っぽく、山あり谷ありの変化が激しい「陸地」があります。もちろん海といっても、そこに水があるわけではなく、隕石などの衝突によって、月の内部から溶岩状のものが噴出して平らになったと言われています。
それでは、月面の観光名所をいくつかご紹介しましょう。

危機の海

3日月の頃、中央付近に丸いクレーター「ラングレヌス」と、その北側の大きなクレーターのように見える「危機の海」が見所です。
海の中は比較的滑らかですが、しわやクレーターも見られます。

静かの海

月面の東寄りにある「静かの海」は、1969年7月21日にアポロ11号から切り離された月着陸船イーグルが初めて、月面着陸した場所です。軟着陸を成功させるために比較的平らな場所が選ばれたわけですが良く見ると、数多くのしわや小さなクレーターをたくさん見ることができます。

アルザッケル・アルフォンスス・プトレメウス

上弦の月の頃、欠け際の中央部よりやや南よりに、3つのクレーターが縦に並んでいる姿が印象的です。南からアルザッケル、アルフォンスス、そしてこの中では一番大きなプトレメウスです。
中央のアルフォンススには南北にのびた中央丘が目立ちます。昔、このクレーターから火山噴火の活動を観測したという報告もあります。その真偽はともあれ、興味深いクレーターのひとつです。それぞれのクレーターの中は比較的滑らかですが、よく見るとしわが多く見られます。

アリアデウス谷・ヒギヌス谷

このあたりは蒸気の海。アリアデウス谷は長さ200km、幅5kmの地溝です。ヒギヌス谷はこれより西寄りにあり、長さ約300km、この谷の中央にヒギヌスクレーター(直径9km)があります。これらの谷は小さなクレーターがクサリ状に並んでいるようにも見えます。

直線壁

上の3つのクレーターから南西の「雲の海」の中に、南北に直線状の崖が見られます。「直線壁」と名付けられたこの崖は長さが115km、高さが400mもある、超巨大な崖です。西側の丸い「バートクレーター」とともに月面の観光名所のひとつです。

プラトー

月齢が8日〜9日くらいの時、月の北側を見ていると、楕円形をした黒いクレーターが眼につきます。17世紀の天文学者ヘベリウスが「大黒海」と名付けたほどの黒さを持っています。

コペルニクス

月齢10日くらいから「嵐の大洋」の真ん中あたりに光る筋「レイ」を伴ったクレーターが眼につきます。「コペルニクス」と名付けられたこのクレーターはよく見ると中央丘がるのがわかります。コペルニクスの直径は約90km。

虹の入江

月齢10日くらいの時、北の欠け際あたりに半円形の綺麗な入江が見られます。ここは昔のクレーターから噴出した溶岩によって、クレーターの南側の縁が壊されて、雨の海と一緒になったものと考えられています。入り江の直径は約240kmあります。

ケプラー

月齢10日くらいの時、コペルニクスの西よりに、嵐の大洋の中に、コペルニクスよりは小さく、光の筋「レイ」もやや小振りなクレーターがみつかります。これが「ケプラー」です。

ティコ

満月近くになると、太陽光線が真上からあたるため、月はのっぺらぼうに見えます。しかしこの時期にひときは目立つものがあります。それが、ティコクレーターで、月の南側のクレーターが多い部分に光の筋(レイ)を四方八方に広げているのが観測できます。
光の筋がどんな風にどこまで届いているか、実際に観測してみてください。ティコのクレーターを詳しく見たいときは月齢9日くらいのときが陰影がついて見頃です。

クラビウス

やはり月齢9日頃、ティコよりやや南よりに、大きなクレーターがあります。クレーターの内部や外壁にもクレーターが見られて壮観です。クラビウスは表側では最大級のクレーターです。直径は実に230kmもあります。

アリスタルコス

満月の北西部を見ると、ひときは輝くところがあります。それがアリスタルコスクレーターです。このクレーターは月面で最も明るくて、皆既月食や地球照でも確認できます

湿りの海・ガッセンディ

嵐の大洋の南西部に直径約380kmの湿りの海があります。その入口あたりにやや崩れた円形状のクレーター「ガッセンディ」があります。このクレーターにも中央丘が見られます。月齢10日くらいのときはクレーターの陰影も濃くて、クレーターの縁の細かな構造や内部の様子も良くわかります。