月のイラスト

日が沈み、西空にまだ残照があり、山の綾線に細い月がいまにも沈もうとしています。近くには宵の明星が煌々と輝き、か細い月の明るさを凌駕しようとしている様は実に美しいものです。古来から、こんな風景を物語や、歌に読んだ例は数多くあります。 
 こよみの起源が、日を数えることから始まるのは自然と言えます。人のリズムが昼と夜の繰り返しによって成り立っているからです。ただ日数を数えるだけでは、数ばかり多くなって実生活にはしだいに不便が生じてきます。日を数えることは周期という点からみれば、地球の自転、すなわち1日1回転の周期にほかなりません。地球の自転よりももっと長い周期のものがあれば、こよみとして便利になります。それが月の満ち欠けでした。新月から始まり、上弦、満月、下弦、そして再び新月になるという繰り返しの周期。30日より少し短い29.53日がひと回りの日数です。これが暦の「月」の起こりです。
 月は私達の住む地球の唯一の衛星です。大きさはほぼ地球の四分の一ですが、平均距離38万キロメートルの空間を回っていますので、見かけの大きさは太陽と同じくらいになります。月面には、クレーターや山脈、谷の他に、海と呼ばれるやや滑らかですが黒っぽく見える部分があります。また満月近くになると、ティコクレーターのように光条(レイ)が放射状に長く伸びて見えるものもあります。