ニュートンの反射望遠鏡(本物はどちら?)


屈折望遠鏡特有の色収差を嫌ったニュートンは1668年に凹面鏡を利用した反射望遠鏡を考案し
実際に作っている。第1号機は、斜鏡を45度に傾けて真横から見る形式みたいですが、上の2号
機は下図(吉田正太郎著 「望遠鏡光学・反射編」)のように斜鏡は45度ではないのがわかる。
この2号機は1672年にロンドン王立学会に提出されたものです。現在のニュートン式と言われて
いるものは、斜鏡が45度に傾いたものです。焦点調節が上図のように主鏡を動かす形式で、これ
も現在の形式とは異なっている。主鏡の直径は2インチ(50.8mm)で焦点距離は約6インチ1/4(
158.8mm)であり、F値が3.125と極端に明るい。おそらくこれでは主鏡をある程度絞ってやらないと
良くは見えなかったものと思われる。当時の技術からすると、現在のように放物面にはなっていない
と思われるから。
ロンドン王立協会が保有しているニュートンが作ったと言われている下の望遠鏡は、1766年に、
ヒース&ウィング社という模型製作社が作ったレプリカであるといわれています。
形はこちらの方が魅力があって好きなんですが・・・。
ひとつ疑問に残っていることがある。それは覗く位置、すなわち接眼部の位置が本によって下
の写真の場合と向こう側についている場合がある
ことだ。望遠鏡の歴史という本では、この写真
と逆であるが、サイエンスビジュアル「光」(東京書籍)ではこの通りの位置になっている。
イギリスへ行った方からの写真(海事博物館)からは、この写真の通りであることが確認できたが、
日本で行われた英国展で売られていた絵葉書では反対になっていた。この写真の位置の方が天体
を見る時には見やすいので現在のニュートン式はこのスタイルになっている。
しかし、どちらが本物なのか未だに闇の中である。

  上写真「サイエンスビジュアル 光」より

左写真「望遠鏡の歴史」より
 ニュートンの反射望遠鏡(本物はどちら?)NO.2