知らない日本語




普段使いなれている日本語と思っていたが、意外に知らないことが多い。
 例えば、「一生懸命」。「イッショウケンメイ」と何の疑いも無く使っているが
 「イッショケンメイ」という言葉があって「一所懸命」と書く。
 「一所懸命」を広辞苑で引くと
 「賜った一ヶ所の領地を生命にかけて生活の頼みとすること。物事を命が
 けですること。一生懸命。必死」とある。
 逆に「一生懸命」を引くと
 「一所懸命(イッショケンメイ)の転」と出ている。
 すなわち、一所懸命の方が本家本元らしい。知らなかったなあー。

もうひとつ、「独壇場」(ドクダンジョウ)ということば。本来は「壇」(ダン)で
 はなくて「擅」(セン)だという。「独擅場」(ドクセンジョウ)が正しいという。
 手偏のほうが正しくて、「擅」(セン)の誤読から、このことばが生じたという。
 「擅」(セン)は「ほしいまま」という意味なので、そう言われると納得がいく。
 日本人でありながら、日本語が危うくなってきた思いだ。

中村明さんの「センスある日本語表現のために(語感とは何か)」(中
 公新書)には、いま紹介したようなことが数多く書かれていて楽しい。
 「ぼくとあたし」、「やり方とやり口」、「日本海側と裏日本」、「春雨と夕立」
 「やはりとやっぱり」などなど・・・。

日本語の種類は多岐にわたっている。古い順に並べると以下のようになるという。

  やまとことば(和語) 万葉集の歌
  漢語  河川、種類、空気、頭痛、移動
  梵語  和尚、旦那、瓦、鉢、あばた
  渡来語
    ポルトガル語  タバコ、パン、カルタ
    スペイン語   メリヤス
    オランダ語   オルゴール、コップ、ゴム、ペンキ、ビール
  外来語
    フランス語     ジャンル、オブジェ、デッサン、デカダンス、コント、ネグリジェ、
                コンソメ、ソテー、マロングラッセ
    ドイツ語     カルテ、テーゼ、ピッケル、ヒュッテ、ドクトル、クランケ
    ポルトガル語  ビロード
    イタリア語    カンツォ−ネ、ピアニシモ
    中国語      シューマイ、メンマ、マージャン
    英語       イメージ、キャスター、シミュレーション、ペーパー、モーター、レベル 
  和製漢語       火事、大事(音読みに限られている言葉) 
  混種語(音読みと訓読みが混じった言葉)
        先手、台所、毎朝(重箱(じゅうばこ)読み「音訓の順」)
        荷物、場所、身分(湯桶(ゆとう)読み「訓音の順」)
  その他の混種語
        えびフライ、お子様ランチ(和語と外来語の結ぶつき)
        臨時ニュース、商社マン、ギフト商品(漢語と外来語の結びつき)
        貸切り観光バス(和漢洋の結びつき)
        テーマソング(ドイツ語と英語の結びつき)
        ヘアサロン(英語とフランス語の結びつき)
        テーブルスピーチ、アフターサービス、ナイター(和製英語
このように並べてみると、日本語って、変なことばだと思えてくる。