知らない日本語
●普段使いなれている日本語と思っていたが、意外に知らないことが多い。 例えば、「一生懸命」。「イッショウケンメイ」と何の疑いも無く使っているが 「イッショケンメイ」という言葉があって「一所懸命」と書く。 「一所懸命」を広辞苑で引くと 「賜った一ヶ所の領地を生命にかけて生活の頼みとすること。物事を命が けですること。一生懸命。必死」とある。 逆に「一生懸命」を引くと 「一所懸命(イッショケンメイ)の転」と出ている。 すなわち、一所懸命の方が本家本元らしい。知らなかったなあー。 ●もうひとつ、「独壇場」(ドクダンジョウ)ということば。本来は「壇」(ダン)で はなくて「擅」(セン)だという。「独擅場」(ドクセンジョウ)が正しいという。 手偏のほうが正しくて、「擅」(セン)の誤読から、このことばが生じたという。 「擅」(セン)は「ほしいまま」という意味なので、そう言われると納得がいく。 日本人でありながら、日本語が危うくなってきた思いだ。 ●中村明さんの「センスある日本語表現のために(語感とは何か)」(中 公新書)には、いま紹介したようなことが数多く書かれていて楽しい。 「ぼくとあたし」、「やり方とやり口」、「日本海側と裏日本」、「春雨と夕立」 「やはりとやっぱり」などなど・・・。 |
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●日本語の種類は多岐にわたっている。古い順に並べると以下のようになるという。 やまとことば(和語) 万葉集の歌 漢語 河川、種類、空気、頭痛、移動 梵語 和尚、旦那、瓦、鉢、あばた 渡来語 ポルトガル語 タバコ、パン、カルタ スペイン語 メリヤス オランダ語 オルゴール、コップ、ゴム、ペンキ、ビール 外来語 フランス語 ジャンル、オブジェ、デッサン、デカダンス、コント、ネグリジェ、 コンソメ、ソテー、マロングラッセ ドイツ語 カルテ、テーゼ、ピッケル、ヒュッテ、ドクトル、クランケ ポルトガル語 ビロード イタリア語 カンツォ−ネ、ピアニシモ 中国語 シューマイ、メンマ、マージャン 英語 イメージ、キャスター、シミュレーション、ペーパー、モーター、レベル 和製漢語 火事、大事(音読みに限られている言葉) 混種語(音読みと訓読みが混じった言葉) 先手、台所、毎朝(重箱(じゅうばこ)読み「音訓の順」) 荷物、場所、身分(湯桶(ゆとう)読み「訓音の順」) その他の混種語 えびフライ、お子様ランチ(和語と外来語の結ぶつき) 臨時ニュース、商社マン、ギフト商品(漢語と外来語の結びつき) 貸切り観光バス(和漢洋の結びつき) テーマソング(ドイツ語と英語の結びつき) ヘアサロン(英語とフランス語の結びつき) テーブルスピーチ、アフターサービス、ナイター(和製英語) このように並べてみると、日本語って、変なことばだと思えてくる。 |