越辺川


越辺川と書いて「おっぺがわ」と読む。埼玉県の越生町黒山から川島町落合橋まで約30kmの川である。東松山市の高坂橋付近で高麗川が流れ込み、落合橋近くで入間川と合流する。そして最終的には荒川に流れ込む。
地図
「おっぺがわ」という名前は、なかなか読めない。この言葉はアイヌ語」から出ているという説がある。「お」は「持つ」という意味で「豊か」とか「たくさん」という意味も持っている。
「ぺ」は「川」を意味する。これからすると「豊かな川」というのが越辺川の本来の意味らしい。もうひとつの説はハングル語説だ。古代朝鮮語では「おっぺ」は「布」を意味したという。
「布のような川」になる。近くの高麗はまさに朝鮮の人々が移り住んだ土地として知られている。
越辺川という名前が「恋人を待つ川」という意味を持っているという旅行案内書にある説明は、アイヌ語の「持つ」を「待つ」に読み違えて伝わったためという。
ちょうど火星にあるすじ状の模様をイタリア語で「カナル」と表現したが、その後英語に訳されるときに運河と訳された過程と似ているとも言える。イタリア語では本来「すじ」とか言う意味であったのが、英語読みの「カナル」が運河であるために運河と誤訳されてしまったのである。
越辺川写真 石今橋(鳩山)から見た越辺川

越辺川の源をたどって行くと、黒山三滝に行きつくが、黒山三滝は、越辺川の支流「藤原川」にかかる滝で、さらにその源をたどると、飯能市の諏訪神社付近になる。諏訪神社は越上山(おがみやま、567m)の山頂から少し降りたところにある。越上山は越辺川の水源のために「越辺の上」という意味で付けられているという。
鳩山町中央公民館発行「越辺川 その流域の変遷と自然」より
2001/4/21