【おもしろい生物の眼】

 生物の眼には、このように人間が持ち合わせていないような機能を持つものが多くあります。この他にも、複眼を持つ昆虫などは皆さんもご存じでしょう。でもミツバチ偏光を見ることができることは案外知られていません。ミツバチは偏光フィルターなどという道具を使わずに偏光を見ることができ、それによって太陽の位置を感知し、方向を知るらしいのです。
 また、ロイヤルプレコストーマスというナマズ(写真3)は、目の中央に入射光量を調節する可変遮光板を持っていて、外観はまるで1本の斜鏡支持棒を持つニュートン式反射望遠鏡のようです。
人間の場合は瞳の大ききを調節して光量を増やしたり減らしたりして環境に順応Lていますが、このナマズの眼は、絞りが眼の真ん中あたりにあるのです。
考えたら、この方が合理的かもしれません。細い所を見る分解能力は、口径て決まるからです。レンズ口径を変えないで光量だけを調節する方法は、太陽を見る時、望遠鏡の前に付ける絞り用できないものでしょうか?
あるいは、カメラの絞りでこんなものができたらおもしろいのではないでしょうか?正確にいえば、ロイヤルプレコスト−マスの眼(右の拡大写真をご覧ください。)は下のような構造をしています。通称オメガアイと呼ばれる虹彩で、何百種というプレコスト−マスに属する種が持っている共通の特徴で、ロイヤルプレコスト−マスはこの中の一種です。
また、オメガアイという通称の通り、この虹彩は、中央に円形の遮光板がある のではなく、目の上から涙型の遮光板が垂れ下がった様な独特な形をしています。
光の通る部分は、ドーナツ型ではなく、三日月型もしくは、1部が切れたドーナツ型をしています。
淡水魚類の中で、光量の調整機構があるのは、プレコスト−マスだけだいわれています。


【写真3 ロイヤルプレコトーマス】



【上の眼の拡大写真】


タカ
ワシのように高いところから獲物を狙う動物の眼は、望遠レンズがはじめからついていて分解能を高めています。絶滅したアパトサウルス図4)などの巨大恐竜の眼も望遠レンズだったに違いありません。あれだけ大きな動物が長い首を上けて見下ろすためには焦点距離の長いレンズが必要だったでしょう。こんなことをいろいろ想像すると楽しくなってきます。

【図4 アパトサウルス】