大江戸リサイクル事情




月曜日の18時50分頃、NHK教育テレビの「やってみようなんでも実験」でドクター役で出演している石川英輔さんが書かれた本のひとつが、ここで紹介しようと思っているものです。石川さんは、江戸の庶民生活や、エネルギー、テクノロジーなどを積極的に研究発表している方です。この本の中で、石川さんは江戸時代は、90%以上、その年、あるいは2〜3年の太陽エネルギーを徹底して利用していたと言っています。

物を最後まで大事に使い尽くし、それを、再び元の世界に戻すリサイクルシステムだと言います。その中のいくつかを箇条書きすれば以下のようです。

照明は、ごま、つばき、なたねなどからとった油。その年の太陽エネルギーを利用している。
エネルギーを取り出すのは、ほとんどが人力、その糧といえば、お米。これもその年の太陽エネルギー。
着物にしても、麻、木綿、あるいは高級な絹、これもカイコの繭であり、その元は桑の葉。
水車の利用。これは太陽エネルギーによって蒸発した水がその元になっている。
紙の原料は、こうぞ。その年に成長した枝だけを利用していて、今のように木をまるごと切ってしまって森林破壊につながることはなかったという。
今の世の中のように、化石燃料を使い尽くすのではなくて、1年ないし2〜3年で、元にもどる植物リサイクルシステムがいかにこれから必要になるか、またそう成らざるを得ないかということをつくづくと考えさせられた本でした。
今でこそ、世の中はリサイクルということをしきりに言っていますが、単に紙などの資源の回収とその再利用の域を出ていないのは確かで、地球規模あるいは宇宙規模での完全循環システムではありません。
                            
もっと大きな規模でのリサイクルを考えないと、近い内に大変なことになると、この本は警告しています。読み終わって、新しい見方を教えられること、大でした。一度、読まれることをお勧めします。

石川英輔さんは、この他にも下記の本も書かれています。

大江戸神仙伝
大江戸仙境録
大江戸遊仙記
大江戸仙界紀
未来妙法蓮華経
大江戸えねるぎー事情
大江戸テクノロジー事情
大江戸生活事情
大江戸泉光院旅日記
SF三国志
大江戸生活体験事情

大江戸神仙伝〜仙界伝までは現代人が江戸へタイムスリップしたらどうなるかという設定で書かれたSFものですが、江戸の記述が細かくて、まるでそこにいるかのように描写されています。そこに出てくる辰巳芸者のいな吉が、それはかわいいですよ!