ローマ人の物語



塩野七生
さんのライフワークである「ローマ人の物語」。いつも気にかかりながら、本屋で横目で見ていたのだが読み始めるにはその覚悟が必要だった。すでに9巻まで刊行されているが、各部とも厚い本だから・・・。それでも誘惑には勝てない。
第1巻の「ローマは1日にして成らず」を手にとって読み始めたら、もうやめられない。おもしろくて1巻を読み終えると、すぐに次の巻が読みたくてしかたがない。現在、5巻目に入り、カエサルの山場にさしかかろうとしている。

塩野さんのパワーには敬服する。史料の読みこなしからそれをまとめる技量、どれをとっても一流だろう。史実をただ並べるだけではおもしろくはないが、そこに著者の考えを吹き込んでこそ面白さが加わってくる。登場人物の内面に迫った表現に息をのむ個所がなんと多いことか。

1年に1冊のペースで2006年まで継続するという企画だから先はまだ長い。しかしこのペースだからこそ後追いで読み始めても追いつける。
こちらも急がずにマイペースで読み進んでいこうと思っている。ローマの歴史なんてと、ばかにしている人があったら、まず1巻を手にとってみてほしい。ローマの問題は、現在の日本、世界の問題に通じているのが解るはずだ。


---------------------------------------------
「ローマ人の物語」(塩野七生 著)(新潮社)
                          
 記:2001/3/3