宇宙の縮尺図 宇宙のスケールを感覚的に捉えるのはなかなか難しい。日常的な距離感とはけた違いに大きいからだ。物の大きさを捉えるのに10倍づつ増やしていくやりかたがある。「パワーズ・オブ・テン(Powers of Ten)」というおもしろいビデオがそのやりかたをしている。人間が寝そべっている所からしだいに離れていくとまわりの景色が目に入ってくる。そして、海や山が視界に入り、人間はその姿が小さくなり見えなくなる。さらに大きく範囲を10倍づつ広げていくというビデオなのだが、スケール感覚を捉えるのによくできたビデオだ。このビデオは、野辺山の電波観測所の公開日に行ったときに初めて見て感動したのを今でも覚えている。宇宙のスケールをこの流儀で表すと、以下のような感じになる。 ●10の6乗km(1,000,000km) 地球と月が見えている ![]() ●10の7乗km 地球の公転軌道の一部が見える ![]() ●10の8乗km 太陽とそのまわりを回る金星の軌道半径がわかる ![]() ●10の9乗km 小惑星の軌道全体が見えている ![]() ●10の10乗km 冥王星までの軌道全体が見える。 ![]() ●10の14乗km ケンタウルスα星(4.3光年)と太陽だけが見えている ![]() ●10の18乗km 銀河系全体(10万光年)が見える ![]() ●10の19乗km 近隣のマゼラン銀河など10 個ほどの銀河の集まり ![]() ●10の20乗km アンドロメダ銀河(230万光年)やM33銀河が見える ![]() ●10の22乗km ボイドなどの宇宙の大きな構造が見える。 ![]() これでもまだ捉えにくいかもしれない。そこで、宇宙をスケールダウンして経験できる距離感に捉えなおしてみると解り易いかもしれない。 太陽から地球までの距離を15kmとしてみよう。縮尺が約1000万分の1に相当する。 太陽を東京都の新宿に置いたとすると、それぞれの惑星までの平均距離は次のように表せる。
![]() 太陽を東京の新宿に置いたときの惑星の位置(縮尺1000万分の1) この縮尺では地球は直径1.3mの球になる。一番高いエベレスト山(8848m)も、0.88mm、すなわち1mmにも満たない。だからでこぼこを感じさせない球体と言えるだろう。高度約400kmの空高く飛んでいるスペースシャトルはこの球体からたった4cm離れたところを回っていることになる。ここで宇宙遊泳と言っても、感覚的には地球遊泳と言いたいくらい地球に近いところでの遊泳である。月までの距離は約40mである。 ![]() このくらいの縮尺では地球のでこぼこは感じられない。 スペースシャトルも地球に張りついて飛んでいるみたいだ! |