世界の大望遠鏡

  すばる望遠鏡

 世界の天文学者は、競って大望遠鏡を作ったし、新たに作ろうとしている。この背景には、もっと遠くの宇宙を、宇宙出来始めの頃の姿を見たいという欲求があるからだ。世界の主な大望遠鏡を列記してみよう。

世界の大望遠鏡が設置されている場所
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 日本のすばる望遠鏡があるハワイのマウナ・ケア山(4200m)には、アメリカの10mケック望遠鏡のほか、電波望遠鏡や2〜3mの赤外線望遠鏡が林立している。赤外線観測に有害な水蒸気量が少なく、シーイング抜群の環境を備えているからだ。ケック望遠鏡は六角面鏡を36枚並たモザイク望遠鏡で、鏡の後ろのアクチエーターでコンピューター制御されている。すばる望遠鏡は44枚の正六角形の鏡を融着して一枚鏡にしたもので、有効径8.2mの大きさは世界一を誇っている。1999年1月28日にファーストライト像が発表されてから、各種の試験を繰り返し、着々とその成果を上げてきている。
マウナケア山頂に林立する望遠鏡ドーム。右端がすばる望遠鏡。

アメリカ、カリフォルニア州パロマー山にあるパロマー山天文台には、1948年に完成した508cm(200インチ)の反射望遠鏡の他にも1.2mと46cmのシュミットカメラ、それに1.5mの反射望遠鏡がある。
 アメリカ、アリゾナ州のホプキンス山天文台には、口径1.7m反射鏡を6枚、同じ筒の中に並べて4.5m相当の性能を出すMMT鏡(Multiple Mirror Telescope:複合主鏡式望遠鏡)がある。大口径の1枚鏡製作の難しさを、数枚の鏡を並べて凌ごうというわけである。
6枚の鏡の焦点が同じ所に結ぶように、鏡の後ろにはアクチエーターが置かれて制御されている。大望遠鏡の制御には、コンピューターが不可能な時代に入ってきたのだ。
 同じアメリカのアリゾナ州ツーソンにあるキット・ピーク天文台には、口径4m望遠鏡をはじめとしたさまざまな望遠鏡が活躍している。天文台は2000mの高地にある。
 南米チリのアンデス山中ラシャにあるヨーロッパ南天文台VLT(Very Large Telescope:とても大きな望遠鏡)計画もおもしろい。同じ
8.2m望遠鏡を4台作った。1台づつの観測もできれば、4台一緒にアレ
イ配置して、実質的に16.4m大口径望遠鏡としても使おうというものだ。
VLTは、1998年6月にファーストライトを行ない成功している。

 ヨーロッパ南天文台のVLT

 1962年に、南アメリカ・チリのアンデス山中に設置されたセロ・トロロ・アメリカ天文台では、口径4mの反射望遠鏡などが活躍している。
 1枚鏡では、すばるの8mが限界であろう。大口径化の方法としては、上に上げたVLT方式やMMT方式あるいはモザイク方式がこれからの方向を指し示しているように思える。世界の大望遠鏡の設置場所は、中緯度の海の孤島か、大陸の西海岸沿いの高地に多い。これは、地球規模の気象条件の影響を受けているからだろう。