埼玉県川越市の喜多院には五百羅漢が一区画に所狭しと集められて鎮座している。羅漢は思い思いの格好をしている。悩んで膝を抱えている者、上を仰ぎ見る者、自分の胸襟を開いて仏がいることを表している者、行儀悪く鼻くそをほじっている者、酒を飲んでいる者、耳を近づけて囁き合う者などさまざまな姿をしている。この狭い空間をゆっくりと歩みながら一体一体と向き合っていると、いつのまにか自分の口元がゆるんでいるのがわかる。

 
天明2年(1782)より文政8年(1825)の約50年間にわたり建立されたもので十大弟子、十六羅漢をふくめ532尊者のほか中央高座の大仏に釈迦如来、脇侍の文殊普賢の両菩薩、左右高座の阿弥陀如来、地蔵菩薩を合わせ全部で538体が鎮座している
(喜多院のパンフレットより) 
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