自然の猛威



いつもと違うはるか日本の南東海上に発生した台風14号は、西に移動しながらしだいに北に進路を変え、23日0時頃には小笠原を直撃し、瞬間最大風速58.8m/sを記録した。観測史上第2位の強風だったという。ちなみに最大風速第1位は1966年9月5日の第2宮古島台風による85.3m/sである。風圧に直すと455kg/m2になる。

  風速(V)と風圧(WP)の間には WP=V2/16 の関係がある。

今回の小笠原の場合には風圧は216kg/m2になる。秒速58.8mということは時速212kmになるから、これは新幹線の速度に匹敵する。そんな中では風圧がすごくて立っている事などできないし、屋根が飛ばされたり建物が倒壊する危険性を持っている。ニュースの映像では、一部の倒壊した家や倒木の様子が映し出されていた。
父島には娘夫婦が暮らしている。前日には娘の連れ合いは漁船をしっかりと船着場に固定しに行ったという。娘は娘で、自宅の外回りを気にかけていた。強風でよく物が飛ぶということで、屋外のベランダに設置されている洗濯機には水を満たし、重さを増すようにし、縄でしっかりと固定したらしい。水道が止まるのを恐れて、風呂場には水を満たした。外へ出れるような空模様ではなかった。ずっと家の中で強風と雨の音を電気が途切れた部屋の中で恐怖を感じながら一晩を過ごしたという。50mを超える風とはいったいどんな具合なんだろうか、想像がつかない。今まで経験したものはせいぜい20〜30m程度のものであったが、それでも外に出れるようなものではなく恐ろしさを感じたものだった。今回の台風や13号のハリケーンから台風に変わったものなど、思いもかけなかったコースを辿っている。夏の猛暑、北極の氷解、海に沈みかけている島「ツバル」など何か地球がおかしい。地球温暖化の影響なのだが、その原因は、明らかに人間の営みから来ている。環境悪化が叫ばれて久しいがいっこうに良くならないのは喉元過ぎれば的な人間のエゴ以外の何者でもないような気がする。

赤外線像(copyright:JWA)

「宇宙天気」と呼ばれる地球の超高層(高度400km)におけるプラズマのふるまいに、地上の天気が影響を与えていることが最近初めて明らかになった。日米の研究チームが地球観測衛星のデータから分析したところによれば、熱帯雨林などにおける雷雨が、間接的にプラズマの密度に影響を与えるようだ。赤道付近に濃いプラズマの帯ができており、その中でも4ヶ所濃い部分があるのがわかる。南米のアマゾン上空、アフリカのコンゴ盆地上空、インドネシア上空および太平洋上空だ。太平洋上空を除いて地上の雷雨によって、上空では大気のゆらぎが発生する。このゆらぎが電離層(E層)のプラズマを動かし、それによって変化した電場が、高度400キロメートルでプラズマの集中を引き起こした、ということらしい。地上の変化が上空に変化を与える、これが地球全体に変化をもたらすことは確かなようだ。


地球観測衛星IMAGEが捉えた密度の濃いプラズマの帯(NASA/University of California, Berkeley)

IMAGE Science Center
記:2006/9/23