太鼓の世界
大太鼓(上)、締太鼓(下) |
●石川県輪島に伝わる御陣乗太鼓や 鼓童の演奏する太鼓の響きはいつま でも忘れられない。 祭りのときなど、大太鼓の地響きするよ うな音、締太鼓の連続的な快いリズム。 ぼくが住んでいる鳩山には太鼓の会が あって、夏祭りやその他のときにその響 きを聞かせてくれる。 「鼓韻(こいん)の会」と名づけられたそ のメンバーは小学生から大人まで基礎を 習いながら、独自のバリエーションを創造 していく。 人、ひとりひとりが独自の宇宙を持ってい るといえる。 |
●鼓は能楽、長唄などに用いられている が、先日、鼓のプロである知人に話を聞 いた。 鼓は不思議な楽器で、同じ形、材質で作 っても同じ音は出ないという。昔から伝わ る鼓の音には、どうしてもならないというの だ。もちろん鼓は右図のように調緒(しらべ お)の締め方で音を変えているのであるが。 彼は、鼓でも太鼓でも、皮の内側はひとつ の宇宙だというのだ。この考えには、ぼくも 共鳴した。今、われわれを取り巻く宇宙は 無数の銀河からできている。まったく同じ ように太鼓や鼓それぞれに独自の宇宙が あると考えてもまったくおかしくはない。 鼓が違えば音は違うし、演奏する人が異な ればまた音が違ってくる。ひとつとして同じ 宇宙は無いのだ。 |
鼓 |