野焼き



野焼き風景


「野焼き」と言っても、野山の枯れ草を燃やすあれでは
ありません。
素焼きの焼き物を作るために窯を利用しないで、土に
穴を掘り、そこに土粘土で作った作品を並べ、薪をくべ
ながら作る手法です。
1日かけて、ゆっくり焼くのがコツです。
はじめは、温度をあまりあげずに、土粘土の水分を徐々
に追い出すことと、土粘土中に含まれている空気を周り
の温度に慣らすことに専念します。
これを怠ると、破裂音と共にこなごなに割れてしまいます。
これを2〜3時間かけて行います。


これが済むと、どんどん木をくべながら、火の勢いを強
めていきます。これも2〜3時間必要です。このときの
火力が弱いと、出来上がりの色が黒っぽくなります。
わざと低温にして焼いて真っ黒に仕上げる人もいます。
ただ、低温で焼いたものは、少しもろいところが欠点か
も知れません。
適度な温度(800゜Cくらい)で、焼くことができると、
赤茶色のいい色に仕上がります。
これだけの高温にするためには、一山の廃材が必要
ですし、炎も5mくらいまで昇るため、風のないときを
選んで広い空き地で行わなければなりません。
夜中に行うと、炎の色の変化も見えるため、温度の変
化もつかみやすくなります。800゜Cくらいまで上がると
燃えている木々の間から、真っ赤な透き通るような土
粘土の姿が見えて、なかなか楽しいものです。
この後は、温度が自然に下がるのにまかせます。
できれば、1日くらいそのまま、ほっておいた方がうま
くいきます。早く取り出して、うっかり冷たい土の上に
置こうものなら、温度差によって、せっかくの作品も割
れてしまいます。
とにかく一度やってみると、縄文人になったみたいで
やみつきになりますよ!

       by MIEKO KATO



低温で焼いた場合(信楽の人による作品)
土鈴
鳩笛