サン・テグジュペリ
星の王子様」は世界中の人たちに読みつがれています。飛行機の故障でサハラ砂漠に不時着した経験が元になって、世界に愛される物語が誕生したといいます。テグジュペリ晩年の作品です。それよりも前、郵便飛行士として活躍していたころの話を書いています。「南方郵便機」(1929年)、「夜間飛行」(1931年)、そして「人間の土地」(1939年)。1900年にフランスのリヨン市で生まれたサン・テグジュペリは1944年写真偵察に出たきり地中海上で消息を絶つまで、自分の経験から生み出された思想を文学の形式で結実させました。とくに「人間の土地」は出版後にアカデミー・フランセーズ大賞を受賞。アメリカでは「風と砂と星と」という題名で同書が出版されると同時にベストセラーになりました。人間本質の探求、地上における人間の威厳に対する再認識をした書と言えるでしょう。

精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、はじめて人間は創られる」、人間の土地はこの行で締めくくられています。
2004/12/19 記

【 サン・テグジュペリ 略歴 】
Antoine de Saint-Exupery 1900-1944年
フランスのリヨンで生まれる。郵便輸送のためにパイロットとして、南米の飛行航路開拓などにも携わった。1944年7月31日、フランス内陸部を写真偵察のため単機で出撃したが、消息を絶つ。

 南方郵便機(1929年)
 夜間飛行(1931年)
 人間の土地(1939年)
 戦う操縦士(1942年)
 星の王子さま(1943年)
 城砦(1948年。未定稿を死後に編集して出版)