南の星はどこまで見えるの?


「南十字星を見たいけど、どこまで行けば見ることができるのか?」と考えたことはありませんか。難しそうに見えるけど、実は簡単に分かるのです。
地球の自転の様子とその回転軸がだいたい北極星の方向を向いていてその高さ(高度)がその土地の緯度に等しいという事実を知っていれば簡単に割り出せます。
まず上の図を見てください。こんな図が出てくると拒否反応を起こす人は丸いボールが水に浮いていて地軸と書いてある周りに回転していると思い浮かべてください。想像できましたか?
さて、ここまで分かれば後は簡単。δと書いた角度が地軸の地平線からの傾きです。これは頭の真上(天頂という)と赤道との角度に等しい。実はこれが緯度の定義なんですね。
Aと書いたところが赤道から南の星で見える限界の星の緯度を表しています。ですから答えは

  見える限界の南の星の緯度(赤緯)=90°−δ(観測する土地の緯度)

となります。これで計算した数字にマイナスをつけた値が求める南の星の緯度です。
例えば緯度36度の所(東京)であれば、赤緯−54度(赤道より南の星はマイナスをつけて表します)となります。南十字の一番北の星(γ星)は赤緯−57度ですから見ることはできません。3度ばかり南に下がらないとだめですね。
それでは沖縄の那覇に行ったらどうでしょうか?
那覇の緯度は26度です。ここからだと赤緯−64度までの星が見えます。南十字の一番南のα星(赤緯−63度)もすれすれで見えることになります。
那覇より南へ行けばもっと見やすくなります。後は南十字が昇っていても昼間ということがあるので、季節と時間を選ばないと見ることはできません。

那覇から見た南十字 6月5日20:30
(C)sunshinecity
池袋サンシャインプラネタリウム「満天」で6月18日から「星降る沖縄」と題した番組が始まります。
ちなみにこの番組は雁田昇さん(通称GWANさん)による構成です。 
記:2005/6/5