中秋の名月



昨夜は曇りがちで、時々雲間から顔を出すというお月見でしたが、月見団子を家族みんなで食べながら少しだけ楽しみました。「花より団子」ではなく「月より団子」の一夜でした。
9月の今ごろは秋の長雨とも重なって、晴れる確率が低い時期です。雲が厚くて月が見えない場合を「無月」、更に雨まで降っているのは「雨月」と呼んでいます。

「中秋の名月」というのは、陰暦8月15日の月をこう呼んでいます。日本人は古くから月を愛でてきましたが、満月を特に好んでいたようです。その中でもこの時期は空気が澄んでいて、晴れれば最も美しい満月が見れるということで、平安時代初期に月を見ながら宴会をする風習ができあがりました。これは月の宴とも呼ばれ、当時は月を見ながら和歌を読み、その出来をみんなで評価しあって酒を飲んで楽しんだということです。
昔は実家でも、月の見える出窓の所にすすきを飾り、月見団子、里芋などを盛り、お神酒を供えていましたが、今はこの風習も少なくなってきました。

 
現在の日本の暦はわれわれが通常使用している太陽暦ですが、旧暦という暦は公式には存在していません。しかし、十五夜を含めたいくつかの年中行事の拠り所として、いまでも旧暦は需要があるため、編集が続けられています。ただし、現在編集されている旧暦は、日本が明治6年に太陽暦を採用するまで使用していた天保暦をそのまま延長したものではなく、過去に使われたことのない一種独特の暦です。

旧暦の1ヵ月は月の満ち欠けの周期によって決められていて、29日か30日のどちらかになります。その結果、1年(12ヵ月)はほとんどの場合354日か355日となります。これは通常の1年(365日か366日)より10日ほど短いため、12ヵ月を1年としてこの暦を使い続けると、たとえば旧暦8月15日は1年にほぼ10日づつ早い季節にずれて、秋から夏へ、そして春へと移ってしまうことになります。これでは都合が悪いので、旧暦ではときどき余分の月を挿入して季節の修正をします。この月を「うるう月」といいます。たとえば、3月のあとに「うるう月」が入れば、その月は「うるう3月」と呼ばれ、3月が2回繰り返される形になるのです。「うるう月」の入れ方の規則はここでは省略しますが、だいたい19年に7回くらいの割合で「うるう月」が入ります。
(注)上の写真は中秋の名月ではなくて、今年の1月に撮影したものです。
2004/09/29 記