木星の二つの赤班



木星の南半球にある大赤斑はイタリアの天文学者カッシーニ(Giovanni Domenico Cassini 1625-1712)の発見以来300年以上もの間、消えずに存続している。最近話題を集めているのはこの大赤斑ではなくてもう一つの小さな赤班だ。事の起こりは白斑と呼ばれているものが合体して目立つ存在になり、それが今年2月ころから赤化してきたことによる。ハッブル望遠鏡が写した下の写真がその白斑の合体の様子をよく表している。

 BAと呼ばれる小赤斑がちょうど大赤斑と並んだ様子を捉えたのが右のジェミニ天文台による写真だ。近赤外線で写しているため実際の色とは異なっている。白い斑点は実際は赤の強い部分だ。普通のイメージはハッブル望遠鏡が写した下の写真の方が良くわかる。下の写真で赤斑が上下に並んでいないのは木星の大気の速度が緯度によって違い、赤道に近い地域の方が速度が速いためだ。今後二つの赤斑がお互いに影響を及ぼしあって色や形を変化していくのか、それともそのまま大赤斑が小赤斑を追い越していくのか注目したいところだ。

ジェミニ天文台

ハワイ・ジェミニ天文台の記事

大赤斑と小赤斑(ハッブル望遠鏡)
記:2006/7/27