宇宙的眺め



星は地球を取り巻く丸天井に張り付いているように見える。プラネタリウムで映し出された星空と同じである。遠近感がない。ボイジャーや国際宇宙ステーション(ISS)のように地球の外に飛び出せばこの感覚はつかみ易いと思うが、地上から眺めて果たして星空の奥行きを感じることができるのだろうか?
国際宇宙ステーション
国際宇宙ステーション(Copyright JAXA)



 地球に近い天体はそれでも立体的に見える。月や太陽では確かに奥行きを感じる。望遠鏡で中心にピントを合わせると周辺のクレーターなどはぼやけて見える。しかしその他の天体ではなかなか難しい。知識と想像力で遠近感があるように錯覚している面も多分にあると思う。

 遠近感をつかむためには比較する対象がないとできない。惑星が月の背後に隠される掩蔽(えんぺい)という現象が起きるときには月との比較で奥行きを体験することができる。右の写真は月の背後に土星が隠されたときの画像である。土星がゆっくりと月に隠され再び現れてくる姿は幻想的でもある。
すばると金星の接近2004/4/2
 1年に何回か明るい星の掩蔽が起こる。中でもすばるのような散開星団の前面を月が通り過ぎていく現象は見ていても楽しい。
左の写真のようにすばるの近くに強烈な光を放つ金星が輝いていたりするだけで宇宙的広がりを感じてくる。
土星食2002/3/20
土星食2002/3/20
土星食(2002/3/20)
       金星とすばる(2004/4/2)

火星と月の接近2003/9/9
火星と月の接近(2003/9/9)

金星の太陽面通過2004/6/8
 水星や金星が太陽面を通過する現象も印象深い。太陽面を通過するときに黒点のように小さな黒い円盤像を作るからだ。左の写真は日本で130年ぶりで見られた金星の太陽面通過。梅雨空に少しだけ顔を見せてくれた太陽。雲がひっきりなしに太陽面を通過していく。晴れ間が覗いたのは、はじめの30分くらいで後は曇り。真丸の金星が影となって太陽に入り込んだとき、太陽の淵がはっきりと切り取られているのが見てとれた。太陽の中央あたりには小さな黒点が二つ見えているが、その黒さに比べて金星の黒さの方が濃いのが分る。黒点が黒いと言っても4000℃くらいの高温で実際は輝いているからだ。周りが明るいために黒く見えるだけ。それに対して金星はまったくの影の領域を見ているので真っ黒に見える。(2004/6/8)

4次元デジタル宇宙ビューワー”Mitaka”


Copyright 4D2U Project, NAOJ





 地球から太陽系を超え銀河系を眺めながら宇宙の果ての大規模構造まで旅行することができるという楽しいシミュレーションソフト。ここに描かれる宇宙は最新観測データと理論に基づいて作られている。ソフトを国立天文台のサイトから無料でダウンロードできるが、快適にソフトを動かすためにはパソコンの性能がある程度要求される。特にグラフィックボードの性能に左右されるようだ。青と赤の立体メガネをつけると3Dイメージで見れるため奥行き感が体験できるようになっているのも他のソフトと異なっている。

【推奨動作環境】
OS WindowsXP
CPU Pentium4 1.8GHz(相当)以上
メインメモリ 512MB以上
グラフィックボード GeForce3(相当)以上
ディスプレイ解像度 1024×768ピクセル以上
ハードディスクに必要な空き容量 50MB以上

その他、次のムービーもダウンロードできる
●連星系の形成
●渦巻銀河の形成
●火星探検
●宇宙の大規模構造
記:2006/7/26