光学系及び性能



  ●薄いレンズ  thin lens
           厚さを考えない仮想的なレンズ。

  ●凸レンズ   convex lens
           光軸上における厚さよりも、周辺における厚さの
           方が小さいレンズ。
  ●凹レンズ   concave lens
           光軸上における厚さよりも、周辺における厚さの
           方が大きいレンズ。


  ●発散レンズ  divergent lens
           焦点距離が負のレンズ。
           平行光線束を発散光線束にする作用がある。

  ●収束レンズ  convergent lens
           焦点距離が正のレンズ。
           平行光線束を収束光線束にする作用がある。

  ●球面レンズ  spherical lens
           球面の屈折面をもつレンズ。

  ●非球面レンズ aspherical lens
           少なくとも一面が、球面(平面を含む)以外の屈折
           面をもつレンズ。


  ●円柱レンズ  cylindrical lens
           円柱状の屈折面をもつレンズ。
           シリンドリカルレンズともいう。

  ●トーリックレンズ toric lens
           レンズの一面が円環面で、他の面が球面又は平面のレンズ
           円環面とは、円柱の軸を円に沿って曲げた場合に生じる円
           柱表面をいう。

  ●反射鏡    reflecting mirror
           光を反射させる鏡。

  ●球面鏡    spherical mirror
           球面の反射面をもつ反射鏡。
           凸面鏡、凹面鏡がある。

  ●非球面鏡   aspherical mirror
           球面(平面を含む)以外の反射面をもつ反射鏡。
           放物面鏡、だ円面鏡などがある。

  ●凸面鏡    convex mirror
           凸面の反射面をもつ反射鏡。
           球面鏡、双曲面鏡などがある。

  ●凹面鏡    concave mirror
           凹面の反射面をもつ反射鏡。
           球面鏡、だ円面鏡、放物面鏡などがある。

  ●だ円面鏡   ellipsoidal mirror
           反射面が回転だ円面の一部からなる反射鏡。


  ●放物面鏡   parabolic mirror
           反射面が回転放物面の一部からなる反射鏡。


  ●解像限界   resolution limit
           光学系で分解することができる2点又は2線の最小間隔。

  ●けられ    eclipse , shading
           結像にあずかる光線束の一部が、レンズ、鏡筒などでさえ
           ぎられる現象。口径食も含まれる。

  ●口径食    vignetting
           光学系において、入射光線の傾きに応じて、結像にあずか
           る光線束の断面積が減少する現象。

  ●内面反射   internal reflection
           レンズ鏡筒の内面又は光学素子の面によって生じる結像に
           望ましくない反射。

  ●迷光     stray light
           光学機器において、内面反射などによって生じる望ましく
           ない光。

  ●ベイリンググレア veiling glare
           像面に広がる迷光。フレアともいう。

  ●ゴースト   ghost
           光学系において、像面上の正規の位置以外に生じる望まし
           くない像。

  ●焦点深度   depth of focus
           光学系の焦点面の前後で鮮明な像ができる範囲。
           顕微鏡では、鮮明に見える物体空間での光軸方向における
           範囲。

  ●被写界深度    depth of field
            焦点を合わせた被写体面の前後で、写真画像として
            鮮明に撮影することができる範囲。

  ●アプラナート aplanat
           光軸上の特定の位置にある像点について、球面収差が補正
           され、正弦条件が満足されたレンズ。

  ●アナスチグマート anastigmat
           非点収差が補正されたレンズ。

  ●色消しレンズ achromatic lens
           色収差が補正されたレンズ。

  ●アクロマート achromat
           二つの波長について色消しを行ったレンズ。

  ●アポクロマート apovhromat
           (1)三つの波長について色消しを行ったレンズ。    
           (2)残存色収差を特に小さくした色消しレンズ。

  ●可変焦点レンズ variable-focal length lens
            光学系の一部を光軸に沿って移動させることによって、
            焦点距離が連続的に変えられるレンズ。

  ●ズームレンズ  zoom lens
            光学系の一部又は全部を光軸に沿って移動させること
            によって、像点の位置を変えることなく焦点距離が、
            連続的に変えられるレンズ。

  ●ズーム比    zoom ratio
            ズームレンズ又は可変焦点レンズにおいて最大焦点距
            離と最小焦点距離との比。

  ●コンデンサー  condenser
            結像が目的ではなく、単に光線を集めるための光学素
            子。

  ●リレーレンズ  relay lens
            一つのレンズ系によって作られた実像を、再び実像と
            して結像するレンズ。

  ●フレネルレンズ Fresnel lens
            厚さを減らすため、幾つかの同心的な輪帯状レンズで
            構成されたレンズ。

  ●テレセントリック光学系 telecentric optical system
            主光線が像焦点(又は物体焦点)を通るように配置し
            た光学系。投影検査用レンズその他に利用される。
            焦点合わせの誤差によって結像倍率に変化が生じない。

  ●バックフォーカス back focus
            レンズの最終屈折面の頂点から像焦点までの距離。

  ●フランジバック  flange focus
            レンズの取り付け基準面から焦点面までの距離。

  ●絞り       stop
            光線束、光量などを制限するもの。開口絞り、視野絞
            り、遮光絞りなどがある。

  ●開口絞り     aperture stop
            レンズ系において、光線束を制限する絞り。
            明るさ絞りともいう。

  ●視野絞り     field stop
            光学器械の視野を制限する絞り。

  ●遮光絞り     flare stop
            光学器械において迷光を防ぐために用いる絞り。

  ●虹彩絞り     iris stop
            同心状に口径が連続的に変化するような構造の絞り。

  ●偏心       decentering
            光学素子の光軸の、光学系の理想的な光軸からのずれ
            (傾きを含む)。

  ●オプチカルフラット optical flat
            光波干渉その他に用いる平面度がよい(0.05〜0.2
            μm程度の)ガラス平板。

  ●オプチカルパラレル optical parallel
            光波干渉その他に用いる平面度がよく(0.05〜0.2
            μm程度)、かつ平行度もよい(0.1〜0.4μm程度)
            ガラスの平行平面板。

  ●ダイクロイックミラー dichroic mirror
            入射する光の一部の波長範囲を反射し、残りを透過
            する鏡。

  ●ビームスプリッター beam splitter
            入射光束を二つに分ける光学素子。

  ●偏光子 polarizer
            自然光を偏光に変えるための光学素子。

  ●検光子      analyzer
            偏光を検出するための偏光素子。

  ●ニコルプリズム  Nicol prism
            入射自然光を直線偏光にする偏光プリズムの一種。
            ニコルともいう。

  ●絞り目盛
           原則として、写真レンズのFナンバーをもって表す。
             Fナンバーの数列は、1を通るルート2の等比数列
               0.5000 0.7071 1.000 1.414 2.000 2.828
               4.000 5.657 8.000 11.31 16.00 22.63
               32.00 45.25 64.00 90.51 128.0 .....
              (レンズ有効面積が2倍になる数列)

  ●有効口径   effective aperture
           光軸上の無限遠点から出て、与えられた絞りを持つ光学系
           を通過する光線束の物体空間における最大直径

  ●Fナンバー   F-number
           屈折率nの媒質中にある光学系の像焦点が射出ひとみの直径
           に対して張る角の1/2をαとするとき、(1/2nsinα)で与え
           られる量。
           収差がよく補正されている場合にはfを焦点距離、dを入射
           ひとみの直径とするとき、Fナンバーは(f/d)となる。

  ●Tナンバー  T-number
           Fナンバーにレンズの透過率を考慮し、レンズの光軸上の像
           面の明るさを与えるための値。
           T=F×10/root(τ)

  ●口径比    aperture ratio
           Fナンバーの逆数。

  ●開口角    angular aperture
           光軸上の物点が入射ひとみの直径を見込む角度

  ●開口数    numerical aperture
           光学系の明るさ又は解像力に関連する量のひとつ。
           屈折率nの媒質中にある光軸上の物点が、入射ひとみの
           半径を見込む角をαとするとき、開口数(NA)は、
           nsinαである。

  ●入射ひとみ  entrance pupil
           開口絞りの物体空間における像。
           例えば写真レンズでは、開口絞りから前方にある光学系に
           よって作られる像になる。

  ●射出ひとみ  exit pupil
           開口絞りの像空間における像。
           例えば写真レンズでは、開口絞りから後方にある光学系に
           よって作られる絞りの像になる。
           望遠鏡又は顕微鏡では、射出ひとみの位置をアイポイント
           ともいう。


フィルター

  ●フィルター  filter
          入射させる光の強度、分光分布、振動面などを変化させる光学
          素子。

  ●シャープカットフィルター sharp cut filter
          定められた波長以下の短波長(または以上の長波長)をするど
          く、遮断するフィルター。

  ●干渉フィルター interference filter
          光の干渉を利用するフィルター。

  ●ニュートラルフィルター neutral filter
          可視領域において波長選択性のないフィルター。

  ●昼光フィルター daylight filter
          昼光の色温度に近い色温度を得るために、光源に組み合わせる
           色温度フィルター。



望遠鏡

  ●望遠鏡  telescope
          遠方にある物体の視角を拡大してみる光学器械。

  ●屈折望遠鏡 refracting telescope
          屈折系の対物レンズを用いた望遠鏡。

  ●反射望遠鏡 reflecting telescope
          反射系の対物鏡を用いた望遠鏡。

  ●天体望遠鏡 astronomical telescope
          天体観測に用いる望遠鏡。

  ●地上望遠鏡 terestrial telescope
          正立系をもつ望遠鏡。

  ガリレオ望遠鏡 galilean telescope
          ガリレオの考案した望遠鏡。正立像を得るために、接眼レンズ
          に凹レンズ用いられている。

  ●シュミット光学系 Schmidt optical system
            球面鏡と、ほぼその曲率中心に置いた補正版とからな
            る口径比の大きい反射屈折結像系。

  双眼鏡   binocular
          二つの同性能の望遠鏡の光軸を平行に結合して、両眼で見る
          事ができるようにしたもの。
          プリズム双眼鏡、ガリレイ双眼鏡などがある。

  ●ペリスコープ periscope
          プリズムまたは反射鏡を両端に置いて光軸を曲げ、安全な場所
          から危険な場所を広範囲に観測する望遠鏡。潜望鏡ともいう。

  接眼レンズ  eyepiece(ocular)
          望遠鏡や顕微鏡などで対物レンズによる像を拡大して見るため
          のレンズ。ケルナー接眼レンズ、ラムスデン接眼レンズ、オルソ
          接眼レンズ、ハイゲン接眼レンズ、エルフレ接眼レンズなどがある。

  ●視野レンズ  field lens
          光学器械の像面付近におくレンズ。例えば、接眼レンズの前部
          に置くレンズをいう。

  ●目レンズ   eye lens
          接眼レンズにおいて、目に最も近いレンズ。

  ●内焦点接眼レンズ negative ocular
          接眼レンズの物体焦点が、レンズ系の内部にある接眼レンズ。

  ●外焦点接眼レンズ positive ocular
          接眼レンズの物体焦点が、レンズ系の外部にある接眼レンズ。

  ●接眼レンズの倍率 magnification of eyepiece
          接眼レンズの性能を表す量の一つ。倍率は250/fで表される。
          ここにfは接眼レンズの焦点距離をmmで表した数値。

  ●射出ひとみ距離 eye-relief (eye-point distance)
          接眼レンズの最後の面からアイポイント間の距離。




【 二枚組み合わせレンズ 】

1、合成焦点距離

      f=(f1×f2)/(f1+f2ーd)

   ここで、f1、f2は各レンズの焦点距離
          dは二枚のレンズ間の距離

2、組み合わせ後の焦点位置

      s=f2(f1ーd)/(f1+f2ーd)

3、組み合わせ後の第二主点の位置

      z=sーf

4、アクロマティック的な組み合わせレンズ
     空気で隔てられたレンズの組み合わせは、双方のレンズが同じ材質で作ら
     れているにも係わらず、波長による焦点距離のずれを材質に基づく基本波
     長でゼロにすることができ、また近隣の波長に対して小さくすることがで
     きます。
     このことが、ホイヘンス及びラムスデンの接眼レンズの基礎となっていま
     す。アクロマティックレンズとするためのレンズ間隔は、薄いレンズの場
     合近似的に次のようにする必要があります。

      d=(f1+f2)/2

     この近似はほとんどの厚いレンズに対しても充分有効です。この基準に適
     合するf1、f2、dを決定した後、他の収差を補償するためにレンズ形
     状を任意に選択することができます。